これが私の生きる道

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「完璧なママ」

2011年10月11日 20時52分31秒 | 演劇
とある週末に近所の駅前でチラシを配っていて
手にとると「北とぴあ 演劇祭」という
高校生の演劇部やプロの劇団が舞台を行う催しの紹介で
その中に無料で申し込み制の舞台があったので
往復はがきで応募していました。
一応抽選という触れ込みでしたが
そんなに申し込み数があるとも思えず
数日後、招待券(はがきに印刷してあるだけ)が届き、
昨日、行ってきました。

「内田康夫ミステリー賞」という
浅見光彦シリーズでおなじみの内田康夫氏監修の賞の
大賞作品を上演するそうで
本当は3月頃行う予定だったのが
地震の影響で延期されていたみたいです。
内田康夫とつかこうへいがうちの区の文化系の2トップなんですが
あいにくどちらもあまり興味がないという皮肉な結果となっています。

推理小説は好きなので一時期読んでいたこともありましたが
何か性に合わずに読むのをやめてしまいました。
つかこうへいも「北区つかこうへい劇団」って
結構頑張ってやっていて
一度観に行きましたが、こちらも自分のテイストに合わずに断念。
まだ売れる前の小西真奈美や黒木メイサだけでも
観ておけばよかったとこちらは軽い後悔をしています。
(たぶん余裕でサインとか貰えただろうし)

会場の北とぴあというのが区の一番大きい会館で
演歌の人がたまにコンサートしにきたりします。
どうせなら一青さんもここでコンサートしてくれれば
来るの楽なのにと考えたりします。
ある程度予想されたことですが
50~60歳程度のこういう区の行事に
進んで参加するような方々ばかりで
後は関係者かそんな感じでした。

上演前に区の広報課の職員の女性が進行役をつとめていたのですが
完全棒読みで、緊張が手に取るようにわかりました。
内田康夫氏と今回の舞台の作者の方が挨拶の為
舞台にあがりました。
作者の方は60歳位の女性で、こちらも緊張したご様子、
内田先生だけはさすがにこういう場に慣れているのか
冗談を交えたスピーチをされていました。

「完璧なママ」というタイトルで
娘から見ると何事も完璧なママがいて
その一家の隣にいつも喧嘩している老夫婦が暮らしていて
ある日、その老夫婦が死んでしまう。
って簡単に書くとこういうお話で
老夫婦が死ぬ(じいさんが婆さんを殺した後、自殺する)のに
「ママ」がどう関与したでしょうっていうのがミステリーの肝の部分です。

前ふりで、「嫌いな人から命令されるとその逆をしたくなる」という
セリフがあって、この老夫婦の場合、
婆さんが「殺せ、殺せ」っていつも言うから
じいさんが殺せなかったかったという理屈になっています。
事件の日は、喧嘩している様子を見ていた「ママ」が
二人の心を和ませようとして、自分の好きなクラシック音楽を
隣に聴こえるように流したら
その音で婆さんが言った「殺せ」という声が聴こえなくなって
じいさんが殺してしまった、
という文字にするとどうなんだろう、というトリックで
現実に舞台を観ていた自分も
「えっ」と絶句する内容でした。

もしかしたら小説の方はもっと納得のいくような書き方をしている
かもしれないし、脚本が悪いのか何か分かりませんが
それにしてももっと病的なまでの「完璧なママ」で
ないとイマイチ説得力がなくて、
これだとタダのうっかり者としか思えません。
自分の善意が殺人に関与したなんて露ほども感じていない描写か
それとも本当は気づいてあえてやったか、
どちらかに降った方が面白いと思いました。

途中、この一家で犬を飼うことになるのですが
この犬を役者にやらすのはいいとして
人間の声でしゃべれるし
まるで「マルモのおきて」を見ているようでした。
(あとで老夫婦に殺されます)

この舞台をつとめたのが「劇団虎のこ」という劇団で
全く知らない劇団でしたが
「ママ」役を演じていた祖父江唯は
昔BSの番組で出ていたのを覚えていて
懐かしい思いでした。
原作がある話だから仕方ないのかもしれませんが
笑いを削ってもっとシリアス路線に向いた方が
面白い話になるような気がしました。


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