公私混同という言葉を使う時、「公」の中に「私」があるという認識を持つ。
そして、「公」と「私」が競合した時は「公」を優先すべきだという論法であり、「私」を優先した場合に非難と訴追を浴びることになるが、これはおかしいと思う。「公」と「私」が混在した状態そのものが異常であり、「公」と「私」は明確に分離して区分しなければならない。「公」の立場では徹底して全ての「私」を排除し、「私」の立場では「公」と全く無関係でなければならない。「公」の立場で「私」を持ち出すことは断じてならないし、「私」の立場で「公」を持ち出すことも一切ならない。ところが、日本の風土として(世界的にも言えるかも知れないが)「公」の中の「私」や、「私」の中の「公」を十分に利用して、中身に関係なく建前だけを「公」と「私」と繕ってうまく使い分けている人達がたくさんいる。
「公」の立場で堂々と「私」の意見を述べたり、「私」の立場で「公」の特権を振り回したりしてもらっては困る。
政治家も大会社の社長さんも有名大学の教授も大病院の院長さんも、「公」の立場を離れればただの一般市民でなければならない。反対に「公の」立場を離れれば一般市民としての扱いを受ける権利を保有しているはずである。よく、一部の特別な役職につく人には「私」のプライバシー部分についても公開する必要があるといい、半強制的に公開させているが、これは原則的にはおかしいと思う。たとえば、資産公開である。悪いことをしていない証明のために資産を公開する。公開できないのは悪いことをやっているからだという論法である。この論法でいけば悪事に関与していない証明のために何でもかんでも個人情報を公開しなければならないことになる。裁判所とか警察が資料提供を要請するぐらいだったらまだ許せるが、強制的に世間一般に公開させることはできないはずである。
何で一般国民に対して公開するんだろう。
多分、公のチェック機能が厳格に機能していないか、国民から不信感をもたれているのだろう。一般公開さえすれば正当性が証明されたというのもおかしい。正当性の判断を国民一人一人に委ねるのだろうか?公開された情報の信憑性についても国民には判断できない。やはりここは専門の公の機関がしっかりと正当性をチェックすべきである。そうすれば個人のプライバシーを一般国民に公開するようなおかしな現象は起きないはずである。それでも不十分なら国民の側から情報公開請求がなされるべきである。その時は、何らかの具体的な不正行為の疑いがある時であり、何にもないのに全てをさらけ出せというのは人道的とは言えない。
個人情報の流出が騒がれている。
流出させた側の責任は免れないが、流出した個人情報を悪用している人がいるし、その人達のために個人情報を売買する闇商売がある。最初に取り締まるべきは個人情報を悪用したり売買する人達である。お客が提供した個人情報は「公」の場で契約に基づいて使用することが前提で、「私」のために使用することを許していない。それを勝手に「私」に利用することは犯罪行為である。このようなことが日常茶飯事的に行われ、それを黙認し野放しにしているのが現状ではないかと思う。見ず知らずの会社から勧誘の電話がかかってきたら、どこから自分の個人情報を得たのか問いただすべきであり、納得できなければ電話を切るくらいの処置が必要であろう。見ず知らずの会社から送られたダイレクトメールは必要なければ全部送り返すくらいの処置が必要であろう。個人情報を悪用している人達の便宜を図る必要など毛頭ないし、国民一人一人がこのような覚悟をしないと迷惑電話、迷惑郵便、迷惑電子メール等はいつまで経ってもなくならないだろう。
情報を与えることは、その人に何らかの行動を起こさせることでもある。
1対1の場合は影響力は限定されるが、1対Nの場合で特にNが不特定多数の時は注意を要する。不特定多数の人が情報発信した個人にどのような行動を起こすか想像もできないし、予想することもできない。そのような衆人環視の中で生活することを考えると、場合によっては刑務所よりひどい状況になってしまう。だから個人情報は保護されるのである。その個人情報を不法に垂れ流している人は断固として取り締まらなければならないし、これを悪用している人も取り締まる必要がある。勝手に持ち出した、勝手に利用した、手に入ったから利用した、可能だから実行した、儲かるからやった等を含めて全てが悪事であり犯罪であることを認識させる必要があるし、結果に対して責任が取れるしくみが必要だし、犯罪行為に対しては確実に取り締まれる体制が必要である。野放しにすればねずみ算的に膨れ上がるので、何らかの規制と制限をかけないととんでもないことになってしまう。
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