「いい加減は」本来、いい言葉である。
しかし今は、苦言を呈する言葉として使用している。コロナウィルスの第7波が未だに猛威を振るっている。考えてみると7回もぶり返しているにもかかわらず、未だに収束しない。そして、政治的な対策の進展はほとんどなく、同じことの繰り返しが続いている。このまま行っても自然に解消するまで待つしか方策がないようである。このコロナウィルス騒動は最初からいったい何だったのだろうと疑問に思うことばかりである。
全国で16万人規模の感染者が新規発生している。
3年前であれば天地が逆転するほどの大騒動になっていたはずであるが、今はあまり驚かないし、深刻にも考えてなく、聞き流している。そして、「With Corona」と言う言葉を借りて、この状態を無いことにしようとしている。目的は経済対策であり、感染対策ではない。それじゃ、感染対策はどうしようというのかと問い詰めても、何も新たな対策は出てこない。これまで通りを継続するだけのようである。
With Corona なんて言葉でごまかさないで、
結局は、具体的な表現にすれば、インフルエンザウィルスと同等の扱いをするということだろう。感染症の指定も解いて、普通のウィルスと同じ扱いにすることだと思う。そうであれば、そうすればいい。指定感染症にしたままで骨抜きにしてしまうと、全体としてはギクシャクとして、効率が悪いのは目に見えているし、全体の見通しが悪くなるばかりである。指定解除しても問題がないような対策を重点的にやればいいし、指定による制限が取れた分、柔軟に対応ができると思う。
感染者の全数報告を止めるという。
それじゃ、今までの全数報告は何だったのだろう。何の意味があったのだろう。意味があるのであれば、今現在だって機能しているのだろうが、全数報告が機能していないから止めても問題ないのだろう。止めるにしても第7波の真っ最中に止める理由も目的も意図も全くわからない。全数報告の成果を十分に活用してこなかったのだろう。ただ、数字の増減に一喜一憂するだけでは新しい対策は出てこないと思う。
行動制限を緩和するという。
その根拠は何だろう。そして、一方的に「ここまではいいです」と言われても、具体的な基準も、これでも安心ですと言う説明も、経済活動との兼ね合いも何も、もっと言えば、どのような経緯でこうなったのかなどの情報が公開されることはない。これを受けて実行する側もどのようにやるのか皆目見当もつかないし、言われるままに従うだけで、自主的な対策もままならない。結局はなるようにしかならない状況が永遠に続く。
有識者会議の意見を聞いて対策をしたいと言うが、
この期に及んで、「有識者会議」に諮らなければならいのか疑問である。細かなことは専門家や官僚に任せるとして、一般的な方向と考え方は決まっているはずである。「国民の声を反映しながら」ともいうが、いちいち国民の声を聴いていてもいつまでたっても結論が出るわけがない。はっきり言ってバラバラなはずである。バラバラな国民に意見を聞くのではなく、バラバラな国民をまとめていかなければならないのである。
国の中枢には優秀な人々が集まっているはずである。
その人達が、どうしようもない結論ばかり出すのは大いに反省しなければならない。その原因は、忖度と一心同体の考え方が染みついているのだろうと思う。忖度は物事を効率的に実行するのに必要だが、すべて忖度では議論は進まない。一心同体を強制させられれば、個人的な意見を述べることもできない。大いに反論や疑問を呈することを奨励すべきである。岸田さんは「聞く耳を持つ」と公言しているが、聞くだけでもダメなようである。
まずは、白紙の状態で様々な意見を聞くべきである。
そして、中枢の優秀な人達は大いに議論するべきである。それを小グループのリーダーがまとめて、一つの意見として発出するのである。リーダーは自分の意見にこだわったり、妙な期待で偏向させたりしてはならない。中立・公正の立場で議論に加わり、いろいろな意見を聞くべきである。いろいろな意見とは立場の違いであるが、それぞれに現時点において正しい結論であるはずであり、根拠もしっかりしているはずである。
議論は悪い意味の「いい加減」で終わってはいけない。
時間が許す限り徹底的に結論に至るまで議論すべきである。時間がない場合であっても議論のやり方を工夫して当座の結論を出さなければならない。その時の結論はいい意味で「いい加減」で状況が変われば結論も変わるし、変えなければならないのである。このことを繰り返せば、よって来る所以も、過去の経緯も、考え方も、その時々の根拠も、そして、現在の結論に対する説明も自信をもってできるし、周囲も納得できるはずである。難しいかもしれないが、これに挑戦して、少しでも愚かな結論が出ないよう努力してもらいたいものである。
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