今年も8月15日が来る。
この日が近くなると、戦争の悲惨さを忘れないように、風化させないようにと言う特集番組があちこちで行われる。何も戦争が過去のものになったわけではなく、現在でも世界のあちこちで戦争は行われている。それを我々日本人は自分のこととして実感していないだけである。過去に自分のことととして実感した日本人の人達は高齢となり、語り継ぐ者も少なくなったし、現代の戦争を知らない世代はあえてこの戦争の体験談に耳を貸そうともしないし、その自分たちと同じ日本人の体験談でさえ遠い昔の自分たちとは関係ない世界の話だと思っている者がほとんどではなかろうか・・・。
戦争を全く知らない世代を生み出したのは誰だろう。
あまりにも戦争が悲惨であったために、それを語ろうとせず、次の世代には関わりを持たせることを拒み、再び戦争が起こるとは断固思いたくないし、思い出したくもないというのが正直なところであったのだろうか・・・。再びあの戦争を起こさないという鉄壁の決意はあるものの、再び起こったときどうするかは考えようともしないし、過ちを再び起こさないためにはどうしたらいいかが話し合われることは少ない。戦争の事実を詳細に見直して反省材料にするという姿勢も少ない。
当然学校教育で重要な歴史として取り上げられることも少ない。
目を覆って指の隙間から覗く程度の教育である。もっと事実を明らかにして、事実に基づく教育をすべきである。悲惨で恥ずべき過去は忘れ去りたいという気持ちはわかるが、それを忘れ去ることは無責任であり、謝罪にも反省にもなっていないし、そのしっかりした謝罪と反省がない限り再び戦争を繰り返すことになる。戦争について教育すると軍国主義につながると言う人もいるが、第2次世界大戦は日本は世界規模の大きな戦争なんて経験してなくてやった戦争である。どちらかと言うと「無知」が産んだ戦争とも言える。後世の人にはしっかりと戦争について教えなければならないと思う。
戦争の特集番組で、その悲惨さを強調するために、
死んでいった人達が、「捨て石」であり「無駄死に」であり「無意味」であったと言うコメントをする人がいる。そして、なんでこんな「馬鹿」なことをしたのかと言う辻褄合わせのため、誰か悪い人がいてその人に騙されていたんだと言う物語を作る人がいる。確かに戦争とは何も関係ない現世代から見ると「馬鹿」なことに見えるかも知れないが、当時の人達は「真剣」であったのである。そして、何かを成し遂げようとしていたのである。
歴史は戦争当時の人達の環境で冷静に見るべきである。
死んでいった人達は、「国のため」に死んでいったのである。その死に対して「捨て石だった」とか「無駄死にだった」とか「無意味であった」とか「騙されていた」と言うのは、果たして適当であろうか・・・。関係ない世代にとってはそうかも知れないが、当事者の身になるとそんなことはない。「捨て石」であり「無駄死に」であり「無意味」であり「騙されている」のであれば、行動のすべてを変えなければならない。関係ない世代にとってはそれに気づかなかったのが悪いと言えるかも知れないが、それは結果論でものを言っているだけである。
戦争当時の人達は、全員が一丸となって国のために尽くしたのである。
現代の戦争を知らない世代にはそのことが理解できないかも知れないし、そんなことするから戦争になったんだと思うかも知れない。国のために尽くすなんて馬鹿馬鹿しいと思うかも知れない。しかし、戦後世代に欠けているのはこの「国のために尽くす」という気概である。「国」は我々の生活を支援するサービス機関くらいにしか思っていない。この国を支えているのが自分たちだという考えにも乏しい。制度として税金を取られ、金さえ出せばサービスが受けられると思っている。「国」とはそんなものではないと思う。
「家庭」を考えると解ると思う。
「家庭」とは、金を持ち寄って維持するだけのものではない。まずは、家庭は自分たちで守らなければならない。次に家庭のために奉仕し協力し献身しなければならない。そして家庭の独立と安泰を維持して他の家庭との関係を維持して行かなければならない。そのためには、家庭の構成員である家族は様々な努力を強いられる。それが「家庭」であり「家族」である。この「家庭」を「町」「市」「県」と広げていったのが「国」であろう。そうであれば「国民」も家族と同様に、国を守る努力をし、国のために奉仕し協力し献身し、国の独立と平和を維持して行かなければならない。それは戦争に突っ走ることではない。平和を維持するためにも必要なことなのである。平和をタダだと思ってはいけない。
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