11月14日(木)
前日まで、まいすの様子に変わったところはなかった。
ここ最近は動きも緩慢になり、寝てばかりいるようになったけれど、
年齢的に普通のこととも思えるし、何より腎不全悪化のバロメーターである食欲、
体重、毛艶、尿量はどれも問題がなかった。
仕事から帰って、いつものよう週に一度の皮下補液のために病院へ。
体重は4.36キロ。ここ1ヶ月くらい4.3キロ台が続いている。
それまでは4.4~4.5キロだったので、減ってきたのがちょっと気になってはいたのだが、
食べる量は今年に入ってからほぼ変わらず安定している。
これくらいの変動は普通だと先生も言うし、まあ人間だってそうだよねと納得する。
帰宅して、いつものようにコタツの上に乗ってフードを食べ、それからコタツに入った。
ここまでは普段とまったく同じ。
だけど夜10時くらいにもまた食べるはずが、その日は全然食べようとしなかった。
腎不全が悪化してからは、度々そういった食欲の波があった。
だからこの時点ではまだあまり心配はしていなかったが、最近はずっと食欲が安定していたので、
食べなくなったのは久しぶりのことだった。
11月15日(金)
朝も、いつもより食べなかった。
でも全然食べないわけではなく、食欲以外はいつもと同じ。
夜は私と一緒にう~に~のベッドに転がって、幸せそうにしていた。
11月16日(土)
ごはんはそこそこ食べていたが、夜、私の布団に来ることなく、朝までコタツに籠もっていた。
ここで、腎不全が悪化したのではないか・・・と思い始めた。
11月18日(月)
日曜日、初めてドライフードを全く食べなくなる。ウェットは好きなものだけ食べる。
月曜の午前中、ダンナが病院に連れて行くが、この時は血液検査をせず点滴だけ。
鼻水が出ているので、風邪かも知れないと抗生物質を出してもらった。
飲ませるのに苦労する。飲んだと思っても、口の中に隠し持っていて、ペッと出したりしていた。
11月19日(火)
抗生物質を飲ませても食欲は改善されず、夕方また病院へ。
血液検査をしたところ、BUNとCREが、2011年4月に急に悪化した時と
同じくらいに上昇していた。
BUN 61.4(前回9月 32.5) 正常値 17.6-32.8
CRE 4.5(前回9月 2.4) 正常値 0.8-1.8
ショックではあったけど、この時はまだ大丈夫だと思っていた。
2年半前に悪化した時だって、皮下補液の回数を増やし、少しでも食べさせる努力を続けるうちに、
数値はしだいに下がり、ずっとその数値をキープできていたのだ。
今度もまた下げられると思った。
実際この日は病院から帰ると、食べなかったドライフードをバクバク食べて、
マメに補液に通えばよくなると安心させてくれたのだった。
11月20日(水)
ドライフードはほとんど食べないものの、処方食でないパウチやネコ缶は食べる。
ほぼずっとコタツで寝ていて、具合が悪いのは確かだが、補液のおかげで少しよくなった気がした。
とにかく原因がわかったので、補液と栄養補給を頑張れば何とかなると思った。
11月21日(木)
1日おきに通院することにしたので、この日も点滴。
ところがこの日は予想に反して、帰宅後も食欲は全くなし。
コタツから出てこない。
一昨日のように、補液をして帰ったら急に食べるのを期待した私はガッカリ。
11月22日(金)
朝、まいすのトイレをチェックした私は愕然とした。
皮下補液をすれば、通常なら夜の間に3回くらいはトイレに行くはずなのに、
おしっこが一つもない。
尿路結石などで尿が出ないとき、猫は何度もトイレに入って排尿姿勢をとったり、
痛くて鳴いたり、血尿が出たりすると本に書いてある。
まいすには、そういう症状は全くなく、尿意がなさそうに見えた。
つまりこれは、腎臓が機能しなくなっていて、尿が作られていないのでは・・・
そうであれば尿毒症になるのは時間の問題。
試しにトイレに入れてみたが、全然する気配はなし。
そしてそのまま猫砂の上に寝てしまう。その姿を見て血の気が引く思いがした。
抗生物質は飲ませた方がいいと言われていたので、飲ませようとしたが、
抵抗すると呼吸が荒くなる。
こんなに呼吸の早いまいすを見たのは初めて。もう無理に飲ませるのはやめた。
夕方、帰宅してすぐ病院へ。
体重を計ったら、なんと4.6キロもあった。
つまり昨日の補液は、まったく吸収されていないのだった。
だからおしっこも出なかったのだ。
膀胱を触診しても、小さいままで、おしっこは溜まっていないことがわかった。
腎臓が機能しなくて、無尿の状態になってしまったのか。
だとしたら命が危ない。絶望的な気持ちになった。
血液検査をした。
たったの3日で、驚くべき数値になっていた。
正直、今死んでもおかしくない数値だった。
BUN 126.7
CRE 12.9
IP(リン)10.1 正常値2.6-6.0
できることは、静脈点滴しかない。
しかし既に補液は吸収されておらず、呼吸が早いことから、肺水腫になりかかっている
ことも考えられる。
そうなるとこれ以上点滴をするのは危険でもある。
それに静脈点滴となると入院しなければならない。
夜の間は誰もいなくなるから、朝スタッフが来てみたら死んでいるということも
あり得ると言われ、それは絶対に嫌だと思った。
とりあえず利尿剤を注射してもらい、家に帰った。
それでおしっこが出ればOKだし、出なければ翌朝病院に預けて日中静脈点滴をし、
夕方迎えに行くこととした。
それでも尿が作られなければ、あと数日で尿毒症になり、苦しんで死ぬことになるだろう。
まいすとの別れという、今まで考えないようにしていたことを、突然目の前に突きつけられ、
私はもう泣くことしかできなかった。
それにしても不思議なことに、こんなにも高い数値でありながら、
まいすは吐きもしないし、あまり苦しそうでもないのだった。
ごはんを食べないことと多少呼吸が早いことを除けば、いつもコタツの中で寝ているのと
ほとんど変わらないまいすだった。
このままで旅立てるならいいけど。
腎不全の末期、尿毒症になると、何度も何度も吐き、痙攣発作を起こすことが多い。
見ている方もとても辛い。
そうわかっていながらも何もできない。
ただ、尿が作られることを祈ることしかできない。
この日はコタツの中で寝ているまいすを撫でながら、ずっと泣いていた。
泣きすぎて顔がむくんで目も腫れて、とんでもないことになった。
11月22日(金)の深夜、コタツの中で寝続けるまいす。
こうしていると、いつもと変わらないんだけどね~。
24時間以上おしっこが出ていない。
時間が経過するとだんだん苦しそうになっていくのだろうか、と恐怖を感じていた。