読書感想文

2019年09月06日 | 井戸端会議
お盆休みを利用して気になる1冊の本を読書📖しました。

    『野球消滅』
プロ野球に待ち受ける”最悪なシナリオ“



今、全国で急速に野球少年が消えている。理由は少子化だけではない。
プロとアマがいがみ合い、統一した意思の存在しない野球界の構造問題が、もはや無視出来ないほど大きくなってしまったからだ。このまま行けば、三十年後にはプロ野球興行の存在すら危ぶまれるのだ。プロ野球から学童野球まで、ひたすら現場を歩き続けるノンフィクション作家が描いた日本野球界の不都合な真実。

【プロとアマの壁は崩れない】
きっかけは“柳川事件”。
野球界が断絶されたのは1961年のこと。柳川事件の当事者である僕ら中日ドラゴンズファンとして、遠い昔こんなことがあった事は覚えておきたい出来事。
この一件が50年以上が経っても日本野球界にとって大きな障壁として立ちはだかっている。
数十年前まではプロ選手は母校の後輩と話もしてはいけない時代があった。2003年、「プロアマ問題検討委員会」が設置され、2005年からプロ選手が母校の高校や大学に限って練習参加が可能となった。などなど、雪解けが進んだがまだまだ各組織の隔てる壁は高く、選手たちの成長には大きな弊害が存在している。
そんな中、2013年11月に「侍ジャパン」が常設化した。
日本野球界はNPBだけじゃなく、アマチュアも含め、色んな団体がバラバラのイメージがあり議論する組織体がなかった。
侍ジャパンはフル代表の単なるニックネームでなく、プロ含めた社会人、大学(U23)、高校(U18)、中学(U15)、小学(U13)、女子代表と全ての世代の日本代表を包括する組織になり、日本野球界の様々な課題を解決する役割を担った。
侍ジャパンという枠組みはNPBでは出来なかった取り組みを可能にした。例えばプロ野球には興味が薄くても日の丸を背負う侍ジャパンなら応援するというファンもいるはず。そうしたファンを取り込めば野球市場の間口が広げられる可能性がある。
また国際試合などの侍ジャパン事業で収益を上げ全国の子供たちへの普及振興の費用に回すことが出来る様になった。日本野球界という、あるようでなかった枠組みが出来たのは極めて価値がある。長らくバラバラに活動してきた野球界が結束したかの様に見えた…。
侍ジャパンが常設化されて5年が経つ。2017年WBC野球日本代表の存在感が高まり、着実に収益を上げ野球興行の運営会社として成功した。
しかし今後の2020年東京五輪が終わり、その4年後のパリ五輪では野球が正式種目からはずされおり、また2021年WBC以降は、今後続いていくのかも不透明。具体的には何も約束されていない。目玉の国際大会が二つともなくなった場合、果たして侍ジャパンの存在価値があるかは極めて微妙となってくる。
野球興行収入やJOC(日本オリンピック委員会)からの補助金などが見込めなくなれば、今後の普及振興、強化、施設の充実、ファンの拡大などの資金を捻出することが厳しくなる。
などなど、なぜ野球界はサッカーの様に一つにならないのか?
最大の理由は、そもそも運営者が異なること。
プロ野球は読売新聞、高校野球は朝日新聞、社会人野球は毎日新聞、学童野球は東京新聞にバックアップされている。
サッカー界が一つのピラミッドで発展してきた一方、野球界には様々なステイクホルダーが存在するからこそ、現在まで成長出来たのもまた事実であるが・・・。

【学童野球の闇、はびこる勝利至上主義】
2007年から2016年にかけて、小・中学生の野球人口は66万3560人から48万9648人と26.2%減少。少子化の6倍のペースで野球少年は減少していという…。
アマチュアがプロ野球選手を作ってくれていて、プロはそれを使わせてもらっているというのが野球界の構造。競技者が減るとプロ野球選手の質が落ちプロ野球に跳ね返ってくる。
プロ野球にとっても極めて深刻な問題だが、2016年のオーナー会議で、野球少年減少の話題が上がった時、「そんなのは大した問題じゃない」と一笑に付いた某オーナーがいたという。
信じれない・・・。
中日球団オーナーのあのお方でないことを信じたい。

〈ちょっと横道に逸れるが、
それどころか意外だが中日球団は野球少年の育成に積極的に取り組んでいることは、オーナー言わく「ようやっとる!」と、評価したい。
ドラゴンズベースボールアカデミーやドラゴンズジュニアベースボール(U10.キッズ野球教室、U12.12球団ジュニアトーナメント、U15.中日ドラゴンズカップ)、キッズベースボールチャレンジなど積極的に少年少女に野球の魅力や楽しさを提供している。〉

“大人な事情”(各団体や協会等の役員方の利権や思惑、面子、体裁など。また親も時間やお金などを負担することの見返りから過度な期待など)は子供たちに過度な肉体的負担をかけている。
学童野球は全軟連、スポーツ少年団の全国大会や都道府県大会に加え、地域独自の大会や各連盟などの諸大会がある。また、地元企業や商店に後援された大会など、子供たちは多くの試合が求められ、多いチームだと年間100試合を越えるほど。冬のオフシーズンが3ヶ月あると仮定すると、残りすべての土日を費やしても1日1試合では100試合を消化することは出来ない。過密スケジュールだ。
球界関係者が訪れる専門医師は「大まかな視野で見れば、いっぱい練習した子が潰れてプロまで競技人生が届いていない。せっかくの逸材が壊れて野球をやれていないという現実をいっぱい見ている。」
うまい子ほど、投手や捕手を任されチームメイトより全力投球を多く行う結果、身体を痛めている。
とりわけ痛めやすいのは利き腕の肘。いわゆる野球肘は肘関節の障害が出る。靭帯を一度損傷すると弱くなり再発することが多い。
学童野球はとにかく試合数が多すぎる。多くの時間を取られるばかりか、発育過程の選手に過度の負担が加わり故障やケガが発生すやすくなる。
こう言ったことを十分理解した指導者は少ない。
今年夏の甲子園出場を掛けた岩手地区予選で何かと話題となった大船渡の佐々木投手と國保陽平監督。
張本さんとダルビッシュの場外バトルも話題となった一件です。 
私なりの見解は國保監督が佐々木投手の将来を考えての決断だったと思います。
大船渡高校の野球部がどこに軸足を置いて活動してきたのか?
はびこる勝利史上主義のプロ部活へ一石を投じたかたちとなったのでは・・・。
《密着スクープ連載》大船渡佐々木 登板回避の真相「勝ちにこだわらない迷采配」が生んだ深い溝 | 文春オンライン

以上、本文より「プロとアマの壁」「学童野球の闇」2つの気になる問題について私なりの感想を書いてみました。

最後に、
2018年、プロ野球の観客動員数は史上最多の2555万719人を記録した。球界再編成騒動の翌年、実数発表を始めた2005年が1992万4613人だったことを考えると、近年のプロ野球人気が良くわかる。だが、それはあくまでもプロ野球の観客動員にまつわる数字。野球界の裾野に目を向けると、まったく異なる。小.中学生の野球人口は2007年から2016年にかけて26.2%も減少している。
日本の野球離れを食い止めるには、プロ球団や機構(NPB)が野球の普及振興活動を行うのは当たり前。野球界で最も資金力がありアマチュアに恩返する責任を果たすことが不可欠です。
日本野球界の各団体・各協会や各組織等リーダーの方々、100年の時を経て日本のNO1スポーツになった野球は深刻な野球離れが進行している事実を受け止め、それに基づいた未来予想図を早急に打ち出し、明るい未来のある日本野球界を切に願ってます。