八島ビジターセンター

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足元

2007年09月04日 | Weblog
午後6時、湿原では昼間の騒々しさを押し流すように、重たい霧が鎌ヶ池から御射山のほうへ向かって立ち込めていきます。僕はこの時間と霧がとても好きです。その霧の中で私たちが学び得ること。それには自分にとって、大切にしていきたい特別な想いがあります。

日中、人々は遠くの景色に目を奪われてあっちもいいこっちもいいと、これから歩いていく道のことを考えます。それは、日常生活においてもっと広い世界や、新しい出会いや、遠い未来にあこがれるのと似ています。それも大切なことでしょう。しかし、太陽の光が和らぎ、霧が立ち込めた時、我々が目にする周囲10mほどの小さな世界はとんでもなく美しく映るものです。

人はあまり遠くを見すぎていると自分の周囲にある大切なものを見逃してしまうのではないでしょうか。

かの文豪ゲーテも、「遠方と未来には何の変りがあろう」といっています。遠くの木陰や谷間に憧れて行ってみても自分たちの期待したほどのものはなく、結局は元いた場所に戻ってくる。それと同じで、どんな放浪者も最後には自分の小さな家、自分の家族、自分を養う仕事の中に本当のよろこびを見つける、と。

私はこの言葉が好きです。いつもそのことを忘れないように生きたいと思います。今を大切に生き、友達を大切にする。日々の食事や休息や音楽を楽しむ。そうして丁寧に少しずつ前へ進む。

夕暮れと霧は私たちにそんな足元を見ることの大切さを教えてくれるのです。


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