切られお富!

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寺島しのぶ出演のNHK-BS「アガサ・クリスティを探して」を観て。

2016-01-24 23:59:59 | 超読書日記
ここのところ、NHKでアガサ・クリスティ関連の番組をいろいろ放送しているんですが、これもそのひとつ。寺島しのぶがナビゲーターになって、クリスティゆかりの地を訪ねるんですが、番組の内容もさることながら、寺島しのぶの堂々ぶりが感心しました。簡単な感想のみ。

違和感なくイギリス人と接している様子を見て、「そういえば、この人、外国人の夫との会話は英語なんだった」と遅まきながら気付いたわたしでしたが、寺島しのぶがあまりに堂々としていて、こういう番組もこの人の新しい境地かな、なんて思いました。

巧い英語ではないんだけど、自分の感想を率直に伝えられているところが、さすが日常で使っている人って感覚で、『そして誰もいなくなった』のモデルになった島の、執筆された場所での彼女の感想にはイギリス人の評論家も食いついていましたね。というか、モデルになった島を見れただけで、あの小説を再読したくなってきましたけど・・・。

で、同じくNHK-BSのプレミアム8<文化・芸術>「偉大なるミステリー作家たち アガサ・クリスティー」でも、取り上げていた「春にして君を離れ」を、有名なアガサ本人の失踪事件とからめて紹介しているくだりも興味深かった。

(注:「偉大なるミステリー作家たち アガサ・クリスティー」は、綾辻行人、桜庭一樹、小林恭二、山本容子、アンガールズ田中の豪華な5人のメンツが、クリスティの三冊(「オリエント急行~」、「そして誰もいなくなった」、「春にして君を離れ」)を論じ合うという凄い番組!)

この小説は、アガサの書いた推理小説でない作品の一つで、自分の良妻賢母ぶりを信じて疑わなかったヒロインが、旅先のある砂漠の町で、学生時代の友人にたまたま会ったことがきっかけで、今までの自信が揺らいでいくというもの。ちょっと、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』を思わせる裏切られ方かな~とも思うんだけど、わたしも今回初めて読んで、彼女の推理小説以上に感銘を受けました。

で、寺島しのぶに話を戻すと、この人って、役者としての人生にせよ、家庭や英語力にせよ、自力で掴み取っていった人生なんだろうなあ~と、この番組を観て改めて思いました。菊五郎、菊之助、富司純子もできないことを今ややっているという・・・。だから、先日の国立劇場ロビーの立ち姿も凛として見えたのかなあ~。

ということで、アガサ・クリスティ再読のきっかけとしてもよい番組でしたよ。そのうち、読書の感想も書きます。


そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
クリエーター情報なし
早川書房
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