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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

開高健再読。

2010-03-22 23:59:59 | 超読書日記
実はここのところ、開高健の本の再読をしておりました。ま、あんまり好きじゃなかったんで、いままで読まなかったんだけど・・・。

去年が没後20年で、今年が生誕80年なんですよね。

去年はNHKのBS「週刊ブックレビュー」でも取り上げられて、角田光代が『輝ける闇』を取り上げていたし、「きっこのブログ」のきっこさんもこの本をブログで紹介していましたよね~。

で、結論から先にいっちゃうと、やっぱり、わたしの好みじゃないなあ~。

でも、愛すべき人物。小説は好きじゃないけど、生き方はちょっと憧れるかな~。

学生時代に読んだ「パニック」や「裸の王様」「巨人と玩具」といった初期短篇の文章は、わたしにはコピーライターの文章に思えて、巧いけど肌に伝わる文章ではなかった。

で、第二の処女作といわれる『輝ける闇』や『夏の闇』は、ベトナム体験を通過したとはいえ、やっぱりわたしにはコピーライターの言葉にみえる。

アパッチ族を取り上げた『日本三文オペラ』も、実際にアパッチ族だった梁石日の『夜を賭けて』が登場した今となっては、インテリの異界体験記みたいに読めてしまうし・・・。(ただし、読み比べると、文章テクや構成力は開高が一枚上手。しかし、それゆえに「作り物」感が否めない。)

結局、小説としては、遺作になった『珠玉』がいちばんよいかな~。個人的には、三つの話のうち、最初の作品がわたしの好み。でも、最後の作品のエロな終わり方はどうなのかな~。晩年にエロに走った巨匠といえば、谷崎、室生犀星、川端なんかもいたけど、結局エロかよ!って感じもしなくもないんですよね~。

また、膨大な量のエッセイをすべて読んだわけではないけれど、作家佐野眞一氏が推薦する『人とこの世界」は大傑作。有名作家のところに開高健が訪問したルポルタージュで、わたしは『きちがい周遊記』のきだみのるや金子光晴のくだりが面白かった!(どっちも、品のない話題が連発!)

アイヒマン裁判のルポ「裁きは終わりぬ」(このタイトルって、アンドレ・カイヤットの映画からとっているんでしょ?今では誰もわからない?!)とか、『ベトナム戦記』はクールなようでいて、結構センチメンタルな部分を残しているところがわたしには・・・。

なお、凝り性なわたしは、近所の図書館の視聴覚コーナーで開高健の釣りのビデオも何本か鑑賞。みな企画倒れで釣れなかった話ばっかりなのがご愛嬌ですが、だみ声のミスターカイコーの魅力は、作品以上に堪能できるかも。わたしは、ロシア人に全然ジョークの通じないところが笑えました!

しかし、こんなことを書いていたら、開高ファンに怒られそうだな~。失礼。

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開高 健
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