切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『峠』 司馬遼太郎 著

2016-05-08 23:59:59 | 超読書日記
意外にも司馬遼太郎ファンだという俳優の東出昌大がテレビで推薦していたんで、読んでみました。これが面白かった!さすが歴女の旦那だけのことはある!ということで、簡単に感想!

NHKで放送していた司馬遼太郎没後20年のシンポジウムを観たのがきっかけだったんですが、パネリストは磯田道史、東出昌大、片山杜秀、辻原登の4人で、いま思えば異色の組合せでしたね。

ところで、わたし、司馬遼って、苦手だったんですよね。というのも、典型的な英雄史観のひとで、成功者を屈託なく明るく描く作家というイメージだったからなんですが、わたしって、基本的に判官びいきだし、悲劇志向ですからね~。(だから、歌舞伎&文楽が好きなんですかね?)

で、『峠』。この作品の主人公・河井継之助は、越後長岡藩の家老で、戊辰戦争の敗者。幕末明治に活躍した志士たちに負けない幅広い見識を持ちながら、藩士としての運命に殉じていく。

上中下の三巻に渡る長編ながら、カタストロフの部分は最後の百ページくらいですか。それまでは、継之助の同時代離れした活躍が痛快なんですが、それゆえに、この人はどうして死ななければならなかったのかって、考えてしまいますね。

この本に限らず、奥羽越列藩同盟の運命など、敗者の視点に立った本を読んだりすれば、能天気に政党名に「維新」とかつける愚行はできないんじゃないでしょうか。

というわけで、敗者を描いた時の司馬遼は悪くないです。歴史好きなオジサン以外にもおすすめ!

PS①:話題にした「菜の花忌」のシンポジウムですが、去年のパネリストには杏が入っているんですね!夫婦で登壇者になるって、ちょっと凄いな!

PS:②各パネリストの推薦作品は以下の通り

磯田道史 ①街道をゆく ②花神 ③播磨灘物語
東出昌大 ①峠 ②竜馬がゆく ③国盗り物語
片山杜秀 ・国盗り物語 ・俄(にわか) ・坂の上の雲 (順位はつけられないとのこと)
辻原登  ①街道をゆく ②韃靼疾風録 ③梟の城


峠 (上巻) (新潮文庫)
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峠 (中巻) (新潮文庫)
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新潮社


峠 (下巻) (新潮文庫)
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