切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

あんまり暑いんで、怪談映画「牡丹燈籠」の再復習。

2015-08-03 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
7月歌舞伎座(夜の部)の牡丹燈籠はなかなかの名演でしたが、牡丹燈籠を扱った日本の映画を簡単にご紹介。

一本目は、山本薩夫監督のもの。本郷功次郎の新三郎に、赤座美代子のお露。西村晃の伴蔵に、小川真由美のおみね。

 学生時代に、池袋の文芸坐で観て、いたく感動したのですが、ひさびさに見直しても、やはりよいですね。配役がよいし、今でいうワイヤーアクションを使っているのが印象的。社会派監督というイメージの山本薩夫の職人的な一面がわかります。ただ、山本薩夫の自伝では、この映画のことがほとんど触れられないのですよ。おなじエンタメ映画でも『忍びの者』については、けっこう言及しているのに・・・。ま、監督としては、興味のない題材だったんでしょうね~。

 なお、歌舞伎座で伴蔵を演じた香川照之は、この映画をたぶん観て参考にしてますね。もっとも、これはわたしの勘ですが。それと、小川真由美のおみねはかなりよいです。玉三郎もこの映画、観てるかもしれません。ちなみに、脚本は溝口健二作品でおなじみ依田義賢。

もう一本は、鬼才曽根中生監督のロマンポルノ『性談牡丹燈籠』。これが、ロマンポルノと侮るなかれといいたい佳作。カメラは『幕末太陽伝』などの名匠高村倉太郎だし、お露役の小川節子が可憐で美しい!伴蔵役は榎兵衛が「木夏衛」の変名で熱演。おみねの原英美との夫婦は下層社会に生きる庶民の泥臭いパワーに溢れています。ま、失踪から復活した最晩年まで、晩節を汚しまくっている監督ですが、この頃は冴えてました。映画ファンなら必見の一本でしょう。

ということで、暑い夏にふさわしい(?)、怪談映画のお話でした。

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