切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

NHKスペシャルの「父と子 市川猿翁・香川照之」を観た。

2013-01-06 23:59:59 | かぶき讃(トピックス)
観ました。雑感だけ。

率直にいっちゃうと、もっと突っ込んで欲しかったなあ~というところ。歌舞伎初心者である香川の苦労の詳細とか、父親猿翁との関係、日常なんかをね~。

生の舞台を観た実感でいうと、香川=中車の苦労は台詞が歌わないこと。というか、いかに歌舞伎役者の発声というのが特殊な訓練の賜物なのか、香川のおかげで気づかされたという面はあります。出演している新歌舞伎やスーパー歌舞伎ですらそうなので、古典となるとさらに大変なんだろうなと想像できますしネ。

いっぽうで、息子の團子君の筋のよさは、第一に台詞の声の伸び。猿翁の指導でどんどん伸びていくんじゃないのかな~。利発そうですしね。

でも、わたしは香川照之=中車の挑戦の行方を楽しみにしているし、応援もしています。

というのも、国立劇場研修生ですら20代前半からのスタートで、それすら幼児期から稽古している梨園の子弟より「遅い」といわれる歌舞伎界。こんな世界で「究極の遅咲き」が可能なのか、オヤジの後天的な学習でどれくらいまでいけるのか、歌舞伎的な演技の方法論を再検証する意味でも、興味は尽きないです。なので、頑張って欲しいなあ~と思いますね。そして、それをいつか本にでもして欲しい!

香川=中車の体験は、歌舞伎役者の家に生まれたかった歌舞伎のディープファンたちを惹きつけるはずだし、ことによると、21世紀の素人地方歌舞伎ブームを引き起こす可能性だってある!?

そんなわけで、話題を番組に戻すと、中車の楽屋に市川猿弥が訪れたシーンが、わたしには一番ホッとした瞬間でした。それまで硬かった中車の表情がやけに柔らかい。「猿弥って、いい人なんだろうなあ~」とつくづく思いましたよ。

というわけで、この企画、今後も続編の制作をお願いしたいですね、NHKさん!

PS:週刊誌ネタ的に猿翁の悪口を言う連中は、下記の本くらい読んでみなさい!三代目猿之助=二代目猿翁が置かれていた状況、彼がいなかったら、今の歌舞伎の集客はあったのか?それを踏まえないと、何も言えないはずですよ!

・室井祐月の語る澤瀉屋の襲名問題(過去に書いた記事)

猿之助修羅舞台 (PHP文庫)
クリエーター情報なし
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