こういうことは年末にやるべきなんですが、年末慌しかったし、ぼちぼち去年の手帳もしまっちゃう予定なんで・・・。というわけで、しばしのお付き合いを。
去年前半はそれなりに読書したんだけど、後半は引越し準備やら引越し後の片づけやらで、たいして読んでいません。そんななかでの印象に残った10冊。
(本の部)
①人間仮免中(卯月妙子)
去年のベストワンですかね。業田良家の『自虐の詩』以来の感動でした。『フリースタイル21』の「特集 THE BEST MANGA 2013 このマンガを読め」では堂々の第2位。担当編集者によると作者は体調を崩しているとのことですが、ご健康の回復をお祈りいたします。続編を期待!
②オカルト(森達也)
霊感も何もないわたしですが、科学とオカルトの間に人間の深い部分の問題があるなあ~と。それより何より、どんなこともまずは受け入れ、どんな人にも分け隔てなく接する森達也のスタンスが尊敬できるなあ~と思えた一冊でした。
③孤獨の人(藤島泰輔)
これは岩波現代文庫の復刊。今の天皇の皇太子時代のご学友による小説で、序文は作者の学習院の先輩である三島由紀夫!小説としてもよいし、作者藤島泰輔とジャニーズ事務所のつながりというのも興味深い。ちなみに映画化もされていて、津川雅彦、小林旭が出演!悪くない映画に仕上がっています。
④毒婦(北原みのり)
木嶋香苗に関する本はいろいろ出ましたが、これが結局のところ基本書になるのでは。他も読みましたが、最初に読んだこの本に勝るものはありませんでした。なお、限りなく黒に近いダークグレーの彼女だけど、状況証拠だけで有罪はまずいと、わたしは思います。
⑤ヘヴン(川上未映子)
これは去年文庫になった小説。久々に名文家だと思いました。旦那の阿部和重は何冊読んでも好きになれないけど、彼女の本だけは、この一冊でノックアウトされた感じ。今後の作品にも期待大。
⑥箆棒(べらぼう)な人々(竹熊健太郎)
これは川上未映子推薦の帯が文庫に付いていたんですよね。昭和の怪人物4人へのインタビュー本で、わたしは康芳夫と川内広範の箇所しか読んでいなかったんですが、読み残していた石原豪人、糸井貫二の部分を含め、全編を読み直したらビックリ。本当に箆棒に凄い本です。しかも、後で知ったんですが、孤高の前衛芸術家イトカンこと糸井貫二はまだご存命で、齢九十にしてフェイスブックをやっているとか!
人生を諦めかけてる人に是非薦めたい一冊!
⑦お前なんかもう死んでいる(有吉弘行)
言わずと知れた有名タレントの本ですが、ビートたけしのスピリッツを継承しているのは、たけし軍団じゃなくて、この人なんじゃないかと思いました。あと、もうひとり継承者を上げるとしたら大久保佳代子かな?
芸人としての身の処し方みたいな感覚とか、冷静な分析力とか・・・。ビートたけし、落合博満、有吉弘行というイメージかな~。わたしだけが思ってるのかもしれないけど。
⑧ザリガニとひまわり(LiLiCo)
年末にテレビで半生が取り上げられたLiLiCo。たまたま、わたしは彼女の自伝を読んでいたんだけど、スウェーデン時代のイジメの話が興味深かったですね。どこの国にもあるんだなって。
ま、わたしの知る限り、大人の社会でもあることだし、教師や教育委員会の対応も、会社の人事や労働組合の対応もかわりゃしません。ということは、開き直ってはじけちゃいなよっていうのが、わたしの教訓か。
そんなわけで、タレント本なんてと侮るなかれの一冊でした。波乱万丈かつエネルギッシュ!
⑨漫画貧乏(佐藤秀峰)
漫画家の収支決算をここまで赤裸々に書いた本はなかったのでは。そういう意味でとても勉強になった一冊。
⑩さらば雑司ヶ谷(樋口毅宏)
あの長谷川和彦監督が映画化したいといっている小説だというので読んだのですが、純粋に面白かった。わたしも池袋周辺をウロウロしていたサブカル青春時代をもっているので、この作者のバックグラウンドにある映画や音楽には結構シンクロしてしまいました。或る意味クドカン的なアプローチだけど、こちらの方が断然突き抜けている。今後の作品にも期待!ただし、映画化は難しいでしょうね、ゴジさん!
(その他)
・つぎはぎ仏教入門(呉智英)
2012年の前半は多少気の迷いもあって、この本をきっかけに仏教関係の本を硬軟取り混ぜて随分読みました。呉智英同様、仏教者になるつもりも覚悟もないんだけど、仏教が21世紀を救う思想かもしれないな~とは正直思いましたね。葬式仏教のイメージで仏教を捉えようとすると、ブッダの語る原初の思想とはかけ離れたものになってしまうということがよくわかりましたし。
近刊の呉智英と宮崎哲弥の対談も含め、仏教への関心は当分続きそうですね~。
(映画)
・『ニッポンの嘘』
2012年はわたしの個人史の中でも「もっとも映画館に行かなかった年」ということになってしまいました。でも、そのなかで自分でお金を払って映画館で観た最良の映画はこの一本に止めを刺す。映画としての出来云々じゃないところで、写すべき人を写せば映画になるということを教えてくれた作品。映画に限らず、写らなくていい人が写りすぎてるのが今の映像世界なんじゃないのかな~と。
しかし、この映画を観た映画館銀座シネパトスも近く閉館ですから、こういう規模の映画も今後難しいでしょうねえ~。どうなる?!日本のドキュメンタリー映画!
以上、極私的2012年読書&映画感想文でした。
去年前半はそれなりに読書したんだけど、後半は引越し準備やら引越し後の片づけやらで、たいして読んでいません。そんななかでの印象に残った10冊。
(本の部)
①人間仮免中(卯月妙子)
去年のベストワンですかね。業田良家の『自虐の詩』以来の感動でした。『フリースタイル21』の「特集 THE BEST MANGA 2013 このマンガを読め」では堂々の第2位。担当編集者によると作者は体調を崩しているとのことですが、ご健康の回復をお祈りいたします。続編を期待!
②オカルト(森達也)
霊感も何もないわたしですが、科学とオカルトの間に人間の深い部分の問題があるなあ~と。それより何より、どんなこともまずは受け入れ、どんな人にも分け隔てなく接する森達也のスタンスが尊敬できるなあ~と思えた一冊でした。
③孤獨の人(藤島泰輔)
これは岩波現代文庫の復刊。今の天皇の皇太子時代のご学友による小説で、序文は作者の学習院の先輩である三島由紀夫!小説としてもよいし、作者藤島泰輔とジャニーズ事務所のつながりというのも興味深い。ちなみに映画化もされていて、津川雅彦、小林旭が出演!悪くない映画に仕上がっています。
④毒婦(北原みのり)
木嶋香苗に関する本はいろいろ出ましたが、これが結局のところ基本書になるのでは。他も読みましたが、最初に読んだこの本に勝るものはありませんでした。なお、限りなく黒に近いダークグレーの彼女だけど、状況証拠だけで有罪はまずいと、わたしは思います。
⑤ヘヴン(川上未映子)
これは去年文庫になった小説。久々に名文家だと思いました。旦那の阿部和重は何冊読んでも好きになれないけど、彼女の本だけは、この一冊でノックアウトされた感じ。今後の作品にも期待大。
⑥箆棒(べらぼう)な人々(竹熊健太郎)
これは川上未映子推薦の帯が文庫に付いていたんですよね。昭和の怪人物4人へのインタビュー本で、わたしは康芳夫と川内広範の箇所しか読んでいなかったんですが、読み残していた石原豪人、糸井貫二の部分を含め、全編を読み直したらビックリ。本当に箆棒に凄い本です。しかも、後で知ったんですが、孤高の前衛芸術家イトカンこと糸井貫二はまだご存命で、齢九十にしてフェイスブックをやっているとか!
人生を諦めかけてる人に是非薦めたい一冊!
⑦お前なんかもう死んでいる(有吉弘行)
言わずと知れた有名タレントの本ですが、ビートたけしのスピリッツを継承しているのは、たけし軍団じゃなくて、この人なんじゃないかと思いました。あと、もうひとり継承者を上げるとしたら大久保佳代子かな?
芸人としての身の処し方みたいな感覚とか、冷静な分析力とか・・・。ビートたけし、落合博満、有吉弘行というイメージかな~。わたしだけが思ってるのかもしれないけど。
⑧ザリガニとひまわり(LiLiCo)
年末にテレビで半生が取り上げられたLiLiCo。たまたま、わたしは彼女の自伝を読んでいたんだけど、スウェーデン時代のイジメの話が興味深かったですね。どこの国にもあるんだなって。
ま、わたしの知る限り、大人の社会でもあることだし、教師や教育委員会の対応も、会社の人事や労働組合の対応もかわりゃしません。ということは、開き直ってはじけちゃいなよっていうのが、わたしの教訓か。
そんなわけで、タレント本なんてと侮るなかれの一冊でした。波乱万丈かつエネルギッシュ!
⑨漫画貧乏(佐藤秀峰)
漫画家の収支決算をここまで赤裸々に書いた本はなかったのでは。そういう意味でとても勉強になった一冊。
⑩さらば雑司ヶ谷(樋口毅宏)
あの長谷川和彦監督が映画化したいといっている小説だというので読んだのですが、純粋に面白かった。わたしも池袋周辺をウロウロしていたサブカル青春時代をもっているので、この作者のバックグラウンドにある映画や音楽には結構シンクロしてしまいました。或る意味クドカン的なアプローチだけど、こちらの方が断然突き抜けている。今後の作品にも期待!ただし、映画化は難しいでしょうね、ゴジさん!
(その他)
・つぎはぎ仏教入門(呉智英)
2012年の前半は多少気の迷いもあって、この本をきっかけに仏教関係の本を硬軟取り混ぜて随分読みました。呉智英同様、仏教者になるつもりも覚悟もないんだけど、仏教が21世紀を救う思想かもしれないな~とは正直思いましたね。葬式仏教のイメージで仏教を捉えようとすると、ブッダの語る原初の思想とはかけ離れたものになってしまうということがよくわかりましたし。
近刊の呉智英と宮崎哲弥の対談も含め、仏教への関心は当分続きそうですね~。
(映画)
・『ニッポンの嘘』
2012年はわたしの個人史の中でも「もっとも映画館に行かなかった年」ということになってしまいました。でも、そのなかで自分でお金を払って映画館で観た最良の映画はこの一本に止めを刺す。映画としての出来云々じゃないところで、写すべき人を写せば映画になるということを教えてくれた作品。映画に限らず、写らなくていい人が写りすぎてるのが今の映像世界なんじゃないのかな~と。
しかし、この映画を観た映画館銀座シネパトスも近く閉館ですから、こういう規模の映画も今後難しいでしょうねえ~。どうなる?!日本のドキュメンタリー映画!
以上、極私的2012年読書&映画感想文でした。
人間仮免中 | |
クリエーター情報なし | |
イースト・プレス |
オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ | |
クリエーター情報なし | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
孤獨の人 (岩波現代文庫) | |
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岩波書店 |
毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 | |
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朝日新聞出版 |
ヘヴン (講談社文庫) | |
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講談社 |
篦棒な人々ー戦後サブカルチャー偉人伝 (河出文庫 た 24-1) | |
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河出書房新社 |
お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ「生き残りの法則50」 (双葉文庫) | |
有吉 弘行 | |
双葉社 |
ザリガニとひまわり | |
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講談社 |
漫画貧乏 | |
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PHP研究所 |
さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫) | |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
つぎはぎ仏教入門 | |
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筑摩書房 |
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