切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

にわか カポーティ・ブーム!

2006-08-10 04:36:33 | 超読書日記
映画『カポーティ』の公開にあわせて、作家・トルーマン・カポーティの文庫が店頭に並び、にわかな「カポーティ・ブーム」って感じですね。以前、プロフィールにも書いたとおり、わたしはカポーティの対談本『カポーティとの対話』というのを愛読書にしていて、彼の小説もとても好き。ところで、カポーティといえば、本人が出てる映画があるんだけど、どのくらいの人が観たのかな?

『名探偵登場』という映画がそれなんだけど、小柄でずんぐりした風貌に独特の甲高い声!ノーマン・メイラーが「ニューヨークに一撃を食らわした声」と評しただけあって、初めて見たときは正直インパクトがありました。

自身を「ホモで、アル中で、ヤク中で、天才」と言ってのけたひとだけあって、屈折した人物なんだけど、わたしが彼に惹かれるのは、独特の魔術的な言語センス。小説の内容以上に、表現の仕方が幻想的でいいんですよね。

作品的には、絶版になっていたときに読んだ『草の竪琴』が好きだけど、『ティファニーで朝食を』や『遠い声、遠い部屋』、『冷血』そして『カメレオンのための音楽』『ローカル・カラー』・・・。絶筆になった『叶えられた祈り』はまだ読んでいなかったので、今度の文庫化が嬉しかったんだけど、翻訳は大丈夫なのかな?

スキャンダラスな人生を送った人だし、その意味では映画になりやすい人物だったんだろうけど、本質的には「孤独な魂を持った少年」という印象の作家だった。かつて、彼の姉貴分だったカーソン・マッカラーズも含めて、アメリカの孤独な作家たちって、独特の魅力がありますよね。(あとはサリンジャーとかフィッツジェラルドとか。)

最後に、カポーティに関する愛ある文章でいつも思い出すのは、今はダメになった作家・高橋源一郎が『ジェイムス・ジョイスを読んだ猫』に載せている文章。この頃くらいまでは、よかったんだけどね~、この人も。

そんなわけで、映画『カポーティ』よりも、作家カポーティ再読運動に、はしりそうなわたしでした!

・映画『カポーティ』(ヤフームービー)

<過去の関連記事>
・新プロフィール
・「中学生は本を読むな!」(お富選!禁断の読書ガイド)
・読書から毒舌を学べ!『カポーティとの対話』


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