切られお富!

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遅ればせながら、2009年「わたしの選ぶ歌舞伎ベスト・アクト&アクター」

2010-01-09 00:00:00 | かぶき讃(劇評)
本当は12月中に発表するのが筋なんですが、遅ればせながらということで!

◎2009年のベスト・アクト (ノミネート10本)

・勧進帳(吉右衛門=弁慶 2月歌舞伎座)
・毛剃(團十郎、藤十郎、5月歌舞伎座)
・勧進帳(富十郎=弁慶 5月歌舞伎座 矢車会)
・女殺油地獄(仁左衛門 6月歌舞伎座)
・天守物語(玉三郎 7月歌舞伎座)
・将門(亀治郎 8月国立小劇場 亀治郎の会)
・鈴が森(吉右衛門、梅玉 9月歌舞伎座)
・仮名手本忠臣蔵三段目(勘三郎、富十郎 11月歌舞伎座)
・三人吉三(菊之助、愛之助、松緑 11月新橋演舞場)
・助六(仁左衛門 12月 南座)

◎2009年「わたしの選ぶ最優秀舞台」

・女殺油地獄(仁左衛門 6月歌舞伎座)

(講評)
迷ったんだけど、仁左衛門一世一代の「女殺油地獄」。

とにかく、舞台が終わってしまうのが切なくなるような、とんでもない名舞台でした。

特に、最後の殺人の場面の微妙な表情の変化は、仁左衛門といえども若い頃はできなかったのでは!国宝級の舞台でしたね~。なお、この月は写真入の筋書きが売り切れで、わたしは買い損ねてしまいました。松竹さん、復刻してよ!

次点は、同じく仁左衛門の「助六」と富十郎の矢車会「勧進帳」が僅差です。

特に、矢車会の「勧進帳」は花道の鷹之資くんの第一声「いかに弁慶~」の立派さ、富十郎の最後の花道、観客の暖かすぎる拍手と富十郎の飛び六法が永遠に忘れ難い舞台でした!

◎2009年ベスト・アクター

 ◎ 中村富十郎
次点 片岡仁左衛門

(講評)
ほとんど同点ながら、歌舞伎座1月昼の部の「三番叟」に始まり、5月矢車会、11月忠臣蔵の師直、12月国立劇場「一休禅師」にいたるまで、足が悪いにもかかわらず、見事な舞台が続いた富十郎。体が元気な頃の名舞台の数々とはまた違った、あらたな芸境を切り開きつつあるんじゃないですか!!!

というわけで、2009年は天王寺屋で決まりです。

次点の仁左衛門はいい演目、いい舞台が続きました(ノミネート以外では、「先代萩」の八汐、「元禄忠臣蔵」の綱豊卿など)。あとは松竹さんのプロデュース能力の問題なんじゃないのかな?松嶋屋に関しては。

あと、「平成の三之助」や亀治郎は確実に力をつけているんだけど、海老蔵にベテラン陣との共演が減っているのは心配。松竹の商売の方針もあるんだろうけれど、若い一座ばかりでは育つものも育たないでしょ?歌舞伎座改装中の芝居の配役も含めて、今後深い検討が必要ではないでしょうか?ネ、松竹さん!

以上。
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2 コメント

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Unknown (なつめ)
2010-01-10 12:20:49
仁左衛門の「女殺油地獄」、テレビで見ました。良かったー!
大阪で、海老蔵がお風呂で怪我をした時、急遽仁左衛門が演じたんですよね。あの時、無理して見ておけばよかったと後悔しきり。これで最後なんて言わないで、関西でもまた演ってよね。
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コメントありがとうございます。 (切られお富)
2010-01-18 20:15:19
コメントありがとうございます。

仁左衛門の「女殺油地獄」よかったですよね~。

ただ、以前歌舞伎チャンネルの番組でも言ってたけど、「役自体が若い人の役なので年をとったらやるべきではない」というお考えみたいです。

でも、もう一回わたしも観たいな~。できたら、玉三郎との共演で!
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