2012年に同様の記事を書いて以来。今後は続けたいですね~。役者の体は死んじゃったらお終いだし、舞台って映画と違って観客の記憶の中にしか生きてないですから。で、2014年の歌舞伎界は地味ながら充実していて、衰退しつつある映画界、音楽界を尻目に素晴らしい成果が続きました。そんな中のわたしのセレクト。ま、反論ある人も多いでしょうが、とりあえず…
●2014年の記憶に残る舞台
1月 山科閑居(藤十郎・吉右衛門)(歌舞伎座)寿三升景清(新橋演舞場)
2月 心謎解色糸 白浪五人男(歌舞伎座)
3月 封印切 勧進帳(吉右衛門・藤十郎)日本振袖始(玉三郎)(以上、歌舞伎座)
空ヲ刻ム者(新橋演舞場)
切られお富(時蔵)(国立劇場)
4月 一條大蔵譚(吉右衛門)(歌舞伎座)
5月 毛抜(左団次)勧進帳(海老蔵・菊之助・芝雀)(歌舞伎座)お染の七役(前進座)(国立劇場)
6月 名月八幡祭(吉右衛門)三人吉三(コクーン歌舞伎)
7月 夏祭浪花鑑(海老蔵・玉三郎・中車)天守物語(歌舞伎座)
8月 輝虎配膳(橋之助・萬次郎)(歌舞伎座)
9月 菊畑(歌六)太功記十段目(吉右衛門・歌六・東蔵・魁春)(歌舞伎座)
10月 伊勢音頭(勘九郎・玉三郎)寺子屋(仁左衛門)鰯売恋曳網(勘九郎・七之助)(以上、歌舞伎座)
金幣猿島群 獨道五十三驛(猿之助)(新橋演舞場)
双蝶々曲輪日記(国立劇場)
11月 井伊大老(吉右衛門・芝雀)勧進帳(染五郎・幸四郎・吉右衛門)(歌舞伎座)
夏姿女団七(猿之助・竹三郎)四天王楓江戸粧(以上、明治座)
伽羅先代萩(藤十郎・橋之助)(国立劇場)
12月 鳴神(海老蔵・玉三郎)幻武蔵(獅童・玉三郎)(歌舞伎座)
伊賀越道中双六 岡崎の段(吉右衛門・歌六) (国立劇場)
ということで、
●わたしの選ぶベストアクト2014
①伊賀越道中双六 岡崎の段(吉右衛門)
②名月八幡祭(吉右衛門)
③夏姿女団七(竹三郎・猿之助)
③鳴神(海老蔵・玉三郎)
⑤伽羅先代萩(橋之助)
次点:切られお富(時蔵)鰯売恋曳網(勘九郎・七之助)山科閑居(吉右衛門・藤十郎)
勧進帳(吉右衛門⇒弁慶&義経)
1位と2位は甲乙つけがたいのですが、これほどまでに悲痛な舞台を見事演じきった吉右衛門の凄味。観てない人は人生損してますね。それぐらい凄かった。同点3位は、竹三郎が猿之助との舞台を楽しんでいるのがよくわかる愉快な舞台。鳴神は近年の玉三郎の舞台の中で歌舞伎的な濃密さが現れた数少ない舞台(もっと歌舞伎をやってほしい!!)。先代萩は藤十郎もよかったけど、橋之助の仁木が出色の出来で、刃傷なんかは仁左衛門、吉右衛門より良かったと思ったくらい。
次点は、時蔵がよかった。私見ですが福助よりこの役にあってますね。鰯売は勘三郎&玉三郎コンビより品があってよかったくらい。山科閑居はこれぞベテラン揃いの古典らしい舞台だったし、吉右衛門の勧進帳は弁慶はもちろん、義経の口跡の良さが出色で、観ていて陶酔感すらありました!
●2014年MVP
①中村吉右衛門
②市川猿之助
③中村歌六
今年は仁左衛門の休演期間もあって、吉右衛門の独壇場だったという印象。ベストアクトに選んだ演目以外でも、一條大蔵、太十、井伊大老など、円熟の舞台が続きました。
2位の猿之助は、スーパー歌舞伎Ⅱ「空ヲ刻ム者」が意欲作で、佐々木蔵ノ介の起用がよかったし、前半なんかはアンチヒーロー的な新しい歌舞伎に思えたんですが、後半はスーパー歌舞伎的スペクタルで予定調和だったかな…と。でも、10月11月の二か月連続奮闘公演は澤瀉屋の若き総帥として、また、勘三郎亡き後の空白を埋める存在として、立役も女形も充実していました。ただ、スーパー歌舞伎でワンピースはどうなんですかね…。
3位の歌六は、吉右衛門の名舞台の脇に必ずこの人アリ。吉右衛門の相手役としては、富十郎や段四郎がいましたが、富十郎の逝去、段四郎の病気のあとはこの人の独壇場。菊畑、太十、岡崎と、もはや貫禄すら感じる存在になりましたね。ちなみに、播磨屋&萬屋一門は若手の教育に成功しているといつも感心しております。
●敢闘賞
中村橋之助
勘三郎の死後、いちばん進境著しいのはこの人じゃないですか。先代萩の仁木の出来には驚きましたし、他だと8月の輝虎配膳が出色。今年は平成中村座での勧進帳弁慶が楽しみですね。
●特別賞
市川中車
海老蔵と共演した夏祭浪花鑑の義平次が良かったんですよね。笹野高史の名演が先行者としてあったとはいえ、中車襲名以来、最高の舞台だったと思うので。向いてる役に恵まれればまだまだやれるんじゃないかなと。
ということで、2014年はまずまずの年だったと思うのですが、2015年ははどうなりますかね~。勘三郎の死から三年が立ち、ポスト勘三郎的な大衆的立ち位置を目指して、若手たちが動き出したという印象はあります。でも、六本木歌舞伎とかスーパー歌舞伎ワンピースがその回答になるのやら?
個人的には、四代目鴈治郎襲名が二代目ファンのわたしとしても楽しみだし、福助、三津五郎の復帰はいつになるのか?円熟味の増している吉右衛門&仁左衛門の舞台。玉三郎は歌舞伎座の舞台に何回出るのか?などなど、目が離せません。ということで、今年はなるべく劇評書きたいなあ~。
●2014年の記憶に残る舞台
1月 山科閑居(藤十郎・吉右衛門)(歌舞伎座)寿三升景清(新橋演舞場)
2月 心謎解色糸 白浪五人男(歌舞伎座)
3月 封印切 勧進帳(吉右衛門・藤十郎)日本振袖始(玉三郎)(以上、歌舞伎座)
空ヲ刻ム者(新橋演舞場)
切られお富(時蔵)(国立劇場)
4月 一條大蔵譚(吉右衛門)(歌舞伎座)
5月 毛抜(左団次)勧進帳(海老蔵・菊之助・芝雀)(歌舞伎座)お染の七役(前進座)(国立劇場)
6月 名月八幡祭(吉右衛門)三人吉三(コクーン歌舞伎)
7月 夏祭浪花鑑(海老蔵・玉三郎・中車)天守物語(歌舞伎座)
8月 輝虎配膳(橋之助・萬次郎)(歌舞伎座)
9月 菊畑(歌六)太功記十段目(吉右衛門・歌六・東蔵・魁春)(歌舞伎座)
10月 伊勢音頭(勘九郎・玉三郎)寺子屋(仁左衛門)鰯売恋曳網(勘九郎・七之助)(以上、歌舞伎座)
金幣猿島群 獨道五十三驛(猿之助)(新橋演舞場)
双蝶々曲輪日記(国立劇場)
11月 井伊大老(吉右衛門・芝雀)勧進帳(染五郎・幸四郎・吉右衛門)(歌舞伎座)
夏姿女団七(猿之助・竹三郎)四天王楓江戸粧(以上、明治座)
伽羅先代萩(藤十郎・橋之助)(国立劇場)
12月 鳴神(海老蔵・玉三郎)幻武蔵(獅童・玉三郎)(歌舞伎座)
伊賀越道中双六 岡崎の段(吉右衛門・歌六) (国立劇場)
ということで、
●わたしの選ぶベストアクト2014
①伊賀越道中双六 岡崎の段(吉右衛門)
②名月八幡祭(吉右衛門)
③夏姿女団七(竹三郎・猿之助)
③鳴神(海老蔵・玉三郎)
⑤伽羅先代萩(橋之助)
次点:切られお富(時蔵)鰯売恋曳網(勘九郎・七之助)山科閑居(吉右衛門・藤十郎)
勧進帳(吉右衛門⇒弁慶&義経)
1位と2位は甲乙つけがたいのですが、これほどまでに悲痛な舞台を見事演じきった吉右衛門の凄味。観てない人は人生損してますね。それぐらい凄かった。同点3位は、竹三郎が猿之助との舞台を楽しんでいるのがよくわかる愉快な舞台。鳴神は近年の玉三郎の舞台の中で歌舞伎的な濃密さが現れた数少ない舞台(もっと歌舞伎をやってほしい!!)。先代萩は藤十郎もよかったけど、橋之助の仁木が出色の出来で、刃傷なんかは仁左衛門、吉右衛門より良かったと思ったくらい。
次点は、時蔵がよかった。私見ですが福助よりこの役にあってますね。鰯売は勘三郎&玉三郎コンビより品があってよかったくらい。山科閑居はこれぞベテラン揃いの古典らしい舞台だったし、吉右衛門の勧進帳は弁慶はもちろん、義経の口跡の良さが出色で、観ていて陶酔感すらありました!
●2014年MVP
①中村吉右衛門
②市川猿之助
③中村歌六
今年は仁左衛門の休演期間もあって、吉右衛門の独壇場だったという印象。ベストアクトに選んだ演目以外でも、一條大蔵、太十、井伊大老など、円熟の舞台が続きました。
2位の猿之助は、スーパー歌舞伎Ⅱ「空ヲ刻ム者」が意欲作で、佐々木蔵ノ介の起用がよかったし、前半なんかはアンチヒーロー的な新しい歌舞伎に思えたんですが、後半はスーパー歌舞伎的スペクタルで予定調和だったかな…と。でも、10月11月の二か月連続奮闘公演は澤瀉屋の若き総帥として、また、勘三郎亡き後の空白を埋める存在として、立役も女形も充実していました。ただ、スーパー歌舞伎でワンピースはどうなんですかね…。
3位の歌六は、吉右衛門の名舞台の脇に必ずこの人アリ。吉右衛門の相手役としては、富十郎や段四郎がいましたが、富十郎の逝去、段四郎の病気のあとはこの人の独壇場。菊畑、太十、岡崎と、もはや貫禄すら感じる存在になりましたね。ちなみに、播磨屋&萬屋一門は若手の教育に成功しているといつも感心しております。
●敢闘賞
中村橋之助
勘三郎の死後、いちばん進境著しいのはこの人じゃないですか。先代萩の仁木の出来には驚きましたし、他だと8月の輝虎配膳が出色。今年は平成中村座での勧進帳弁慶が楽しみですね。
●特別賞
市川中車
海老蔵と共演した夏祭浪花鑑の義平次が良かったんですよね。笹野高史の名演が先行者としてあったとはいえ、中車襲名以来、最高の舞台だったと思うので。向いてる役に恵まれればまだまだやれるんじゃないかなと。
ということで、2014年はまずまずの年だったと思うのですが、2015年ははどうなりますかね~。勘三郎の死から三年が立ち、ポスト勘三郎的な大衆的立ち位置を目指して、若手たちが動き出したという印象はあります。でも、六本木歌舞伎とかスーパー歌舞伎ワンピースがその回答になるのやら?
個人的には、四代目鴈治郎襲名が二代目ファンのわたしとしても楽しみだし、福助、三津五郎の復帰はいつになるのか?円熟味の増している吉右衛門&仁左衛門の舞台。玉三郎は歌舞伎座の舞台に何回出るのか?などなど、目が離せません。ということで、今年はなるべく劇評書きたいなあ~。
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