切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

4月から、国立劇場の会員割引枠縮小!

2005-02-06 14:00:12 | かぶき讃(トピックス)
私は国立劇場あぜくら会に入っているのですが、毎月送られてくる会報「あぜくら」に日本芸術文化振興会理事長からの挨拶状が入っていた。

内容は、従来あぜくら会員には会員割引として2割引いていたチケット代を四月から1割に値上げするという。正直なところ、「ついに来たか!」というのが私の第一印象。というのも、予想していたことだし、これはひとえに似非歌舞伎ファン・小泉純一郎のせいなのだ。

御存じない方もいらっしゃると思うので説明しておくと、国立劇場を含む日本芸術文化振興会は小泉改革によって特殊法人から独立行政法人に移行し、予算はカットされた上、採算性を厳しく問われるようになった。私のチケット代支出はともかく、このことの余波が歌舞伎や文楽の世界にどんな影響を及ぼすか危惧する演劇関係者も多い。というのも、現在、(世襲した人たちを除いて)伝統芸能への道へ進む若者の多くが国立劇場の研修生出身であるからで、国立劇場の運営がうまくいかなくなると、伝統芸能の世界の将来の担い手や裏方の供給が滞っていくことになるからなのだ。また、歌舞伎の場合、埋もれていた狂言の復活や有名作品の通し上演など、必ずしも商業ベースに乗らないプログラムなども意欲的に取り組んできたわけで、これが採算性のために、歌舞伎座と変わらないような見取り制の演目になれば、何のための“国立”なのか訳がわからなくなってしまう。

こういうことを自称歌舞伎ファン小泉がやっているということがタチが悪いわけで、どうにかならないんだろうか?

でも、「一部の歌舞伎や文楽ファンのために税金使ってていいの?」という声もあるのでしょうが、二つのことを指摘しましょう。ひとつはドイツなど海外の有名オーケストラも多額の税金や寄付で成り立っている(らしい)こと、もうひとつには「観光立国」などというお題目を政府も経済界も唱えているのであれば、外人が手近に触れられる日本文化を保護しておくのは政策としてなんら問題はないはずだということ。(特に、東京へ来た外人が行く場所なんて限られているでしょう、買い物を除いては。)

さて、どうも経営が苦しいらしい日本芸術文化振興会、4月からの演目が、半端に大衆受けを狙ったものにならなければいいのだけど…。


・「効率性と質の向上」へ 長期的視野で人材育成を (2003/11/12)

・日本芸術文化振興会の独立行政法人化について
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