切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『奇縁まんだら 続の二』 瀬戸内寂聴 著

2010-12-10 23:59:59 | 超読書日記
以前も、「松本清張の愛人の話が出てくるよ」ということで話題にしたこのシリーズ。最新刊が出ました。今回は歌舞伎がらみだと、歌右衛門、藤間紫、十三代目仁左衛門、永山松竹会長、吾妻徳穂が出てきます。興味のある方はどうぞ!

テレビに出ている「説教師」としての瀬戸内寂聴は大嫌いなんだけど、この本の下世話な感じは大好きですね。仏門に入っている人とは思えない下世話さ!このひとの最高傑作なんじゃないのかな?もっとも、小説も全部読んでるわけではないですけれど…。

歌右衛門のくだりは、有吉佐和子の言葉を借りて歌右衛門の実相語った上に、晩年の老いと若い俳優への嫉妬をシンプルな筆致で見事に描きだしているし、九十歳前後の仁左衛門夫婦の神々しい姿、永山会長の人柄を伝える「源氏物語」のときのエピソードなど、興味深い話ばかり…。

そして、わたしが一番余韻を持って読んだのは、十五代目羽左衛門の娘にして、現在の人間国宝・五代目中村富十郎の母、吾妻徳穂の話。

寂聴曰く、「あんなに天真爛漫で不羈奔放で艶な女の人はそれ以後まだお目にかからない。」ということだけど、そんな彼女の「霊感」による予言がわたしには心に残ったなあ~。あんまり関係ないけど、晩年のトルーマン・カポーテイのきっぱりした発言ぶりを思い出した。

ということで、オススメ!

PS:表紙の白塗り男が誰かって気になるでしょ?わたし、最初、田中康夫かと思ったのですが、なんと長谷川一夫でした。すいません、横尾忠則画伯!

奇縁まんだら 続の二
瀬戸内 寂聴
日本経済新聞出版社
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