切られお富!

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『奇跡』 是枝裕和 監督

2011-07-03 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
なんとなく観てきました。わたしは食い足りなかったなあ~。というわけで、簡単な感想!

博多と鹿児島に離れ離れに暮らす兄弟と父母。九州新幹線の開通で一番列車がすれ違う瞬間に願い事を唱えると奇跡が起こると聞いた兄弟は…なんて話なんですが、少し散漫なんですよね。二時間くらいある映画だし…。

是枝監督の映画って久々に観たんだけど、基本的にこのひとって、良くも悪くもスイートとというか、「甘い」ところがあるでしょ?その「甘い」ところがよい方に出たのが『ワンダフル・ライフ』って作品だったんだけど、この作品はどうなんですかね?

わたしが引っ掛かったのは、人物が描きこまれてないなあ~ということ。子供たちの内面ももうひとつ掘り下げられなかったし、やたらに豪華なわき役陣(樹木希林、橋爪功、原田芳雄など)もなんだか生かされず、背景に押しやられちゃった感じ。

それに、主役の兄弟はやはり芸人ぽかったんですよね。そのあたり、『大人は判ってくれない』みたいにはいかなかったってところなんじゃないのかな?(ちなみに、子役の映画だと成瀬巳喜男監督の『秋立ちぬ』とか、今村昌平監督の『にあんちゃん』なんかわたしは好きです。あとはボクダノビッチの『ペーパームーン』も嫌いじゃないな~。)

また、「奇跡」の扱いも中途半端だったなあ~。監督は参考作品にエリック・ロメールの『緑の光線』(もし観ていない人がいたら、すぐレンタル店に走ること!特に孤独なOL必見の映画です!)という、「奇跡」を扱った奇跡的な映画をあげていたけど、残念ながらあのハッとした感じには遠く及ばなかった!

なお、原作(?)になっている小説の中村航っていうのも、わたしには興味が持てない作家です。

また、直接は関係ないけれど、話題になった九州新幹線開通のCMもわたしはいまいち…。みんなで盛り上がろうみたいな感じが、わたしはどうにもなじめないんだよね~。それに、代理店の匂いがするじゃない?ま、この映画も企画自体に代理店の匂いがあるしなあ~。

ということで、徹底的に相性が悪かったみたい。でも、そんなに悪い映画ではありません(全然フォローになってないか?)。ただ、子供を描かせたら、相米慎二監督の方が鋭かったな、子供と一体化してたな、とは今更ながら思います。興味のある方はどうぞ。


奇跡
中村 航
文藝春秋


(参考)
ワンダフルライフ [DVD]
クリエーター情報なし
バンダイビジュアル


大人は判ってくれない [DVD]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン


今村昌平 DVD Collection にあんちゃん
クリエーター情報なし
ジェネオン エンタテインメント


ペーパー・ムーン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
クリエーター情報なし
パラマウント ジャパン


エリック・ロメール コレクション 緑の光線 [DVD]
クリエーター情報なし
紀伊國屋書店


お引越し デラックス版 [DVD]
クリエーター情報なし
パイオニアLDC


夏の庭~The Friends~ [VHS]
クリエーター情報なし
ヘラルド・エース
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