カセレスはメリダからバスで1時間くらいの場所にある世界遺産の城塞都市。
旧市街は堅牢な城壁で囲まれていて、城壁の上を歩くことができたが、入り口が分からず狭い石畳の道を何度も行き来した。
やっと見つけたのが、鳥の絵などを売っていた美術館のようなところの奥の方だった。
この城壁はローマ人によって造られた物らしい。
城壁の上を一回りしてから旧市街を歩いてみた。
[マヨール広場]
街にはたくさんの広場があり、その中心がマヨール広場、テラス席のあるお店や観光案内所などもあり、旧市街はここから始まる。
広場にある街を一望できるプハコの塔にも登ってみた。
[プハコの塔から見たカセレスの街]
[旧市街]
街の中で目立つ教会があった。
新教会と呼ばれ、名前がないらしく、一説にはサン・フランシスコ・ハビエル教会だとも。
その教会前の広場では、子どもたちがこの街の歴史の授業をしていたので一緒に参加させてもらった。
教会の横にある演劇学校の生徒たちが寸劇をして歴史を教えていた。
すべて話が通じた訳でもないが、意外と面白かった。
そしてその広場に面して無料の美術館があり、ちょうどその時は「ゴヤ展」を開催中で、ゴヤの初期の作品がたくさん展示されていた。
日本では考えられないが、このようにスペインでは芸術に触れることが簡単にできるようだ。
以前、プラド美術館に行った時も地元の小学生らしき団体がたくさんいて、おとなしく絵を鑑賞していたのを思い出した。
[新教会]
もう一つカセレスで体験したことは、スペインと言えば修道院のお菓子!
サンタマリア教会の隣にあるサンパブロ修道院でお菓子が買えるというので、早速行ってみた。
恐る恐る修道院に入ってみても誰もいなく、壁にお菓子のリストとその隣に小さな窓があるだけだった。
窓の脇の呼び鈴を押してみた。
すると窓の向こう側から声が掛かり、どのお菓子にするかと聞かれたので、適当に言ってみた。
窓は回転扉になっていて、お金を乗せると回転して中に入り、しばらくしたらまた扉が回転してお菓子が出てきたが、その間お互いに顔を合わせることがなかった。
適当に買ったお菓子は美味しかったし、面白い体験もできた。
その後、サンタマリア教会などを見学して、カセレスの街を後にした。
次に向かったのはトルヒーリョ。
トルヒーリョはピサロなど多くのレコンキスタドール(中南米大陸を征服した人たち)を排出した街で、かつてはイスラム教徒の支配下となったこともあり、イスラム教徒との争いの中で築かれ、カセレスと同じようにここも城塞都市。
[ピサロの銅像]
やはり街の中心はマヨール広場、この広場にはピサロの銅像があった。
そして、いつも通りトラムに乗って街の様子を見た。
午後からはアラブ城を中心に見学した。
アラブ城はイスラム教徒が築いた城で、城跡はあるが他には何も残っておらず、展望台のみとなっていた。
[左奥がアラブ城]
[アラブ城から見たトルヒーリョの街]
ここから見た眺めは素晴らしかったが、全体に赤茶けた印象で、どう見ても肥沃の土地には見えない。
だから、この辺りの人々は海外に進出しなければ生活できなかったのかもしれないと思った。
アラブ城から下ってくる途中にピサロの生家があり、今は小さな博物館になっていて、ピサロのインカ帝国への侵略時の様子などが詳しく説明されていた。
ペルー側から見るとピサロは侵略者になる。
ペルー人の知り合いがいるので、ちょっと複雑だった。
歴史はいつも勝者が正義になるのでしょうがないのかもしれない。
次の街はグアダルーペ。
グアダルーペ修道院は世界遺産に登録されている。
正式名称はサンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院。
[グアダルーペ修道院]
そこには全スペイン圏の守護聖母として「奇跡の黒い聖母マリア像」が祀られていて、聖母マリア信仰の中心地になり、巡礼地となっている。
長い間に渡って増築、改築を繰り返してきた修道院なので、さまざまな建築様式が見られ、有名な回廊はムデハル様式となっていた。
その修道院を見学してから街歩きをして、その日の宿のパラドールへチェックインした。
普段は安宿に泊まっているが、ここではちょっと贅沢をしてパラドールを選んだ。
夕食も豪華にパラドールのレストランで食べた。
[パラドール・デ・グアダルーペの夜景]
今回旅をしたエステレマドゥーラ地方はスペインでもあまり裕福でない地方だと言われているが、それでもスペインの歴史の中では十分に役割を果たしてきた地方だと思う。
ゆっくりと回ってみれば見どころもたくさんあり、何よりも街の人々が陽気で、旅行者にも屈託なく接してくれて、とても良い旅となった。