第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

Change management  病院や大学や現場の改革マネージメントについて

2020-10-22 17:18:36 | Harvard medical school

みなさまこんにちわ。

やはり面白いと、その吸収量はスポンジのようになりますね。今週のテーマはChange managementです。

僕にはとても面白く、今までありとあらゆるところで本能や直感的に動いてきたことがようやく言語化されている印象があります。

今回は、なぜ??医療組織は改革や変化に遅れがちになるか?と言うことが下記のように鋭く書かれています。

 

今回の*引用論文Brian Golden. Healthcare quality Vol 10, special issue 2006, 11

(1)利害関係が複雑でバラバラであること

(2)医療組織には常に複数のミッションが存在する(例えば僕の解釈では、臨床、研究、教育、収益、安全などetc、これらは拮抗しやすい側面があるかと思います)

(3)医師や看護師などの専門家は専門家としての自律性を重視する傾向がある(各科のことにFeed back しにくい傾向があるといえますね)、それらの判断により収益の大部分に影響を与えること

(4)医療組織では、変化のプロセスや改革をマネージするために必要な知識と技術が非常に不足していること

かなり鋭い視点です。なるほど、確かに医師や看護師、薬剤師、検査技師それぞれが高度な専門性を持っております。さらにはその中でも診療科の違いによりさらに複雑になりますね。しかも自律性とは書かれていますが、sectionalismに走りやすい傾向はその専門性からのautonomyを求める傾向になるのは表裏一体です。

さて、このような難しい局面は読者のみなさまも多々遭遇してきていると思います。

 

次に、どのようにマネージしていけば良いかですが大きな枠組みはこちらになります。

Stage 1から4まであるのですが。

Stage1は明確なビジョンとコンセプトと目標ですねこれを掲げれるかどうか。

Stage2はStakeholder analysisや、Key playerの確認、コアメンバーの人選、現場の細かい分析やRCAですね。Stakeholderは何をして欲しくて何をして欲しく無いのか?そこを見極めていく必要があり。この場合、その組織の歴史を十分に理解していないとうまく行かないわけですね。

文献によれば、Chage leaderは年齢や役職で決めてはいけない、その場所にもっとも適した人を人選する。日本ではなかなか難しい。

Stage3はそれらの①サポートの拡大:協力者を増やすことと、この際に5W2H、継続や他の変更ではなく、なぜこの変更であるのかをなどを明確にわかりやすく聞き手に合わせてメッセージを伝えること。

変化は次のことを考慮すれば受けれられやすい。

- 無理ならば戻すことが可能であること(人は変化を恐れる)
- 変更は段階的に実施可能。(徐々に受け入れられる)
- 具体的である。変更は抽象的なもの(例えば安全文化を作ろう!良い教育を!など)よりもむしろ有形、目に見える考え方(例えば新しいITシステムを導入する)などで表現する。
- 慣れ親しんだものを利用する。変更後も経験を応用できるようにする。(PCなども似たものを使うなど)
-合理的であること。改革が組織の他視点でも利点が多いこと。
- 限界点を見極めておくこと。

②Organizational Redesign 組織の再設計 これに関しては、スタッフの教育と説明、そして丁寧なコミュニケーションが必須。改革の影響を受けるスタッフがその利点を理解し、リーダー達は変化を支持する環境を作り活動できるようしなければならない。(これはGlobisの田久保先生から教えていただいた、改革はオセロ!? 理論では無いでしょうか)

- 目標と課題の再設定 何を達成しようとしているのか、どのような新しい行動が必要か?
- 構造化 どのように組織化するか?
- 人と人材把握 どのようなスタッフが必要で、どのようなスキルが必要か?
- 報酬 スタッフは何に価値を見出し、その改革から何を得るのか?
- 情報と意思決定支援 スタッフは改革と随時判断するために必要なだけの十分な情報へのアクセスがあるか?(これ大事ですね)

Stage4 Reinforce and Sustain Change:改革が成功した場合にそれで満足してはならず、持続可能でなければならない。観察し続けて、うまくいたところを広報し、協力者に報酬(付加価値)を与え、変革に伴う損失を認識しする努力をする。また新しい状況や情報に合わせて次の目標を考えてシステムを微調整する。

 

 

特にこの4つのStageで重要なことを分類して考えると。上記のような図になる。

これは、うまく行かなかったときになぜうまくいかなったか?の原因を考えるテンプレートになるので現場で使用すると良いかもしれない。

特に、経験があるのが、ここの部分ですね。僕の個人的な解釈です。

  • 情熱的(夢をみさせることができる)わかりやすいVisionがなければ確かに誰もついてこないので、現場は混乱するだけになる。
  • リーダーに改革の知識や経験的なスキルが無いと現場は不安になる。
  • 迅速に改革を進めなければいけないときにはそれに労力を費やすだけのIncentiveが必要となる、それがない場合はその他が充実していれば時間のかかる改革になる。
  • 改革の現場で、逆に人的、金銭的、物質的なリーソースが無いままに進めると現場にはフラストレーションがたまる。
  • 最後に、やっぱりここが一番大事で、実際に改革のための原因や手段が分析できていてアクションプランが実際に用意されていないと、ただやり始めた感が出るだけで実際に開始されない。

そして改革に携わるリーダーの基質/心構えとしてもっとも重要なことが、生真面目に全てがタイムラインや計画通りにのらないことを嘆くのではなく必ず発生する変則的なイベントや問題を注意深く観察して対応できることである。

引用:Brian Golden. Healthcare quality Vol 10, special issue 2006, 11

 

1. Our emotions can overwhelm our rational thought

人の感情は合理的な考え方を凌駕してしまう。 一方で、理性的分析的な行動だけに頼ってしまうと「物事を過剰に分析し、考えすぎてしまう。

2.There are better ways to make a change than probably what most think.

変更を達成するために目標を設定する必要があることを知る。
3. There are better ways to make a change than probably what most think.

人の問題のように見える事案は往々にして状況の問題であること。すべての改革は誰かが通常とは異なる行動を開始しなければならない。なので、人にばかり注目してしまうが、実際にはシステムや環境を変化させることが重要。

4. What looks like laziness is often exhaustion

怠惰のように見える多くの場合は疲弊していることが多い。

5.The Rider part of our minds has many strengths.

改革のリーダーは多くの強みを持っているが逆に弱点があり、熟考し、分析好きで、問題を悪化させ、多くの場合リーダーの分析は常に明るいスポットをみているのでは、暗い問題ばかりに向けられる傾向がある。

6.We are all human but sometimes we tend to make the default plan

人は悪い側面をみたときに、必ずしも最前では無いアイデアなどの深く考えずに実施してまうようなデフォルトがある。心理学的に悪いことは良いことよりも強い行動をとってしまう。

7. Make sure your goals are reachable and specific

あなたの目標が到達可能であり、具体的であることを確認する。小さなステップを踏んでいくことが大きな目標を達成するための最良の方法。ステップが大きすぎると、圧倒されてしまいできない。

8. In highly successful change efforts, people find ways to help others see the problems or solutions in ways that influence emotions, not just thought.

改革に成功した場合の行動や努力は、往々にして単に考えるだけでなく、人々の感情にうったえる方法で、人々が問題を解決するのを助けることへつなげる手法をとる. 

9. The gates of large goals are lined with small accomplishments.

大きな目標の前には小さな成果が並んでいる。目標に向かって小さな一歩でも踏み出せたら、自分を褒める!! 忘れない。最初の数歩は感情的に恐怖や不安が先行するが、歩き出せば自信に繋がる。

10. Any new quest, even one that is ultimately successful, is going to involve failure.どんなに最終的には成功しているものであっても、多くの失敗を必ず伴う。失敗は恐れない、そして省察する。