憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

竈の神・・24

2022-11-14 02:29:59 | 竈の神  白蛇抄第18話

澄明の式神により、善嬉が来ると知らされた白銅は

その由と善嬉とともに、

榊十郎の息子、縅之輔に逢おう と、法祥に伝えた。

「わざわざ、逢わずとも、陰陽術で読むことができるのでは?」

ー読むーと、いうことを、簡単にできると考えるのは

仕方が無い事である。

「直接、白い犬が縅之輔に、憑いていいるのなら、

それもできる。

が、縅之輔の前世がひょっくり顔をだしたというより

血の中に溶け込んだ前世の思いが、白い犬の存在を匂わせているだけだから」

「だったら・・・善嬉さんがいらっしゃっても・・」

「そこが違う。善嬉は、前世を読める」

「逆をいえば、白銅さんや澄明さんは、前世までよめないということですか・・」

「そういうことだ」

善嬉が自ら明かした事実に寄れば

善嬉の前世は鬼だった、という。

鬼の妖力をもったまま、苦しい修行を積んだのも

来世には「人間になりたい」、その一心だった。

そして、死の間際に救世観音が現れ

生まれ変わったら 人間になっていた上に

修行で得た法力やら 鬼の妖力を継いでいた。

そうなれば 陰陽師に成るのが良い。

と、九十九の守家に勧められ 九十九の養子に入って

跡を継いでいる。

九十九の守家も跡が無かったので

双方ともに、安泰となった。

その善嬉が、やってくれば

白い犬、もしくは 白い犬に関わった縅之輔の前世を

読み下すことが出来るだろう。

「それで・・・解決するのですか?」

法祥が問い直すことは、あるいは核心をつく。

「それは、判らない。読み下すだけでは、むつかしいだろう。

白い犬の存念を、晴らしてやらねば・・・」

「存念って、どういうことです?」

伊予の存念・八十姫の存念 孝輔の存念・・など

晴らしてきた法祥だれば、存念ということは判る。

だが、白い犬に存念があるということは、知らない。

「ああ・・善嬉がすでに、読んでおってな」

と、善嬉が読んだ、縅之輔の前世と白い犬のいきさつを

法祥に話した。

聞き終えると

「やっかいですね」

と、法祥がうなだれた。

伊予の亡霊と、法祥は話すことが出来た。

伊予という伝手があって、 八十姫たちも浮かばれた。

いわば 

白い犬と縅之輔の前世と話ができるなら

善嬉も、伊予の如く 伝手になれるだろう。

だが、その伝手になる「話しあえる」か、どうかが判らない。

「だから・・直接 逢ってみるしかない、と、善嬉が判断したのだと思う」

「なるほど・・」

「まず、縅之輔を探してみようと思うのだ」

ふむふむと頷くと 法祥は歩みだした。

「まずは、人づてに・・」

にこやかに笑うと、一件の飯屋を指さした。



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