憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

パンパンとチョコレート・・・5

2022-11-02 10:52:18 | パンパンとチョコレート

僕らも早く、何とかしようとおもっていたのに・・。

こんな浮浪児が、まともに、稼ぐ方法も
みつからないまま、
僕らは引ったくりをくりかえしていた。

「嫌な予感がする」
昭次郎がいったけど、
それは予感なんかじゃなくて、
当然の警戒態勢。

憲兵も駅舎の中に
現れた浮浪児の存在に気がつく。

当然、
其の目的も見えていただろう。
あげく、
其の強行の結果も耳に入る。

被害が、重なれば、
いやでも、僕らの存在が
注視され、
憲兵は
悪党を摘み取る任務を
課せられる。

其の日・・・。
僕らはそれでも駅舎に向かった。

めぼしい人間を見つけると
僕らは
跡をつける。

良二がめぼしをつけた人間の跡をおう。

それを合図に僕らも動き出す。

それを待っていたかのように、
憲兵が良二を追い始める。

駅舎を出ようとした良二が憲兵に
呼び止められた。

逃げる良二を見越していたんだろう。
憲兵は良二が走り出すより先に
良二の二の腕をつかみ、警邏棒で良二を羽交い絞めにしていた。

「逃げろ!!」
良二が僕らに警告を発するより先に
僕らは
駅舎の外に走り出した。

良二がどうなってしまうのか
そんな、心配より
僕も憲兵に追われていた。

他の仲間も多分、同じ状態だろう。

今日こそ
悪党を一掃してやる。

憲兵はそう決めていたんだ。

柱の影から、飛び出してきた
二人の憲兵の手をかわしたけど、
僕が
走る後ろには
やっぱり、
憲兵が張り付いてきている。

僕は自分の身の軽さを守りに
塀の下をくぐり
憲兵をまこうとしたけれど、

奴らは執念深く
僕を追いかけてきていた。

僕は路地を抜け、
闇雲に走り回った。

塀の下をくぐり
横丁の路地のむこうの
白い柵のむこうにまわった。

植え込みの多い小さな貸家が並ぶ一角。
アメ公相手の商売に
店を出した路地の裏に
真新しい貸家がならんでいるんだ。

ココで、憲兵をまく。

僕のもくろみがうまくいくことを祈りながら、
小さな植え込みの中に隠れこんだ。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿