〈以下の記事を復刻します。〉
☆ もう10年以上前に書いた記事だが、内容を一部修正して復刻したい。官僚や公務員のあり方が問われているのに、10年前とほとんど変わっていない。いや、むしろ「役人天国」が進んでいるのではないか!? 公務員制度改革などに真剣に取り組んで欲しい。このままでは、日本は“公僕”によって滅びるのではないか。 (2012年3月12日)
1) 国家とは領土(国土)、国民、主権の3つの要素から成り立っている。これは、国家の定義ということだが、3つの要素があっただけでは、国家は機能しない。 国家機能はいろいろな組織によって運営されているが、その組織は公務員らによって成り立っている。公務員の給与や組織の運営費は、国民の税金によって賄われている。 ということは、国家とは税金で成り立っているのだ。
国民は、税金を国家や地方公共団体に納めるのだが、その税金を運用するのも、国や地方の公務員である。それによって、国家や地方公共団体は活動することができる。
税金とは、国家や地方公共団体のいわば“血液”である。 国民はこの血液を、絶えず国家等に提供しているのだから、その使い道、使い方を厳重に監視する権利があるし、また監視する必要がある。 以上述べたことは当たり前の話だが、この当たり前のことが、結構いい加減に認識されているのが問題だ。
2) 話が少し変わるが、 「公僕」という言葉を最近ほとんど聞いたことがない。昔はよく聞いたものだ。死語になったのだろうか。 辞書を引くと「公衆に奉仕する者」とか「国民に奉仕する人」となっており、公務員(public servant)のことを意味している。
公僕というのは、単純に言って「公の僕(しもべ)」であり、僕とは「召し使い」のことである。「召し使い」という言葉があまり良い印象を与えないからか、あるいは公務員が偉くなったからか、公僕という言葉もあまり使われなくなったようだ。
しかし、先に述べたように、国や地方を問わず、公務員は国民の税金によって生かされているのである。公務員の主人は、まさに国民である。 内閣総理大臣であろうと○○大臣であろうと、納税者である国民に奉仕しなければならない。 要するに「公僕」なのだ。 ところが、この当たり前の認識が、日本ではなぜ希薄なのだろうか。なぜ、公務員の無駄遣いや天下り、汚職などが後を絶たないのだろうか。
「お上」というのは、ふつう「国家権力」即ち「政府」のことをいう。 あまり好きな言葉ではないが、よく使われる。 なぜ、日本人は「お上」という言葉をよく使うのか(皮肉を込めて使う場合が多いが)。 「お上」というのも、結局は「公僕」のことではないか。 政府も税金で成り立っているだけである。政府は、つまり「公僕の代表」と言うだけのものだ。
諸外国のことはよく知らないが、日本では昔から、この「お上」の意識が強すぎる。日本の歴史や日本人の意識を、ここで検証するつもりはないが、21世紀に入って、もういい加減に「お上」の意識は払拭してもらいたい。代わりに「公僕」の意識を徹底させて欲しい。
3) もう35年以上も前の話で恐縮だが、私がテレビ局の政治部記者だった頃、自民党の実力者・福田赳夫氏の所へしょっちゅう取材に行っていた(後の首相。 福田康夫元首相の実父でもある)。
ある晩取材に行ったところ、たまたまその時は記者が私一人だった。私は運が良いと思って、福田さんといろいろ話し込んでしまった。何を話したのか今は覚えていないが、けっこう長い時間居座ってしまった。 そして帰り際だったと思うが、何かの話のついでに福田さんは一言だけポツリと述べた。「矢嶋君、日本は役人天国だよ」
私は、この言葉を一生忘れない。未だに耳の奥に残っている。 「日本は役人天国だよ」と言った福田さんは、旧大蔵省のエリート官僚出身の政治家だった。実感がこもっていた。あれから35年以上がたつが、私は今も、日本は役人天国だと思っている。いや、ますます“役人極楽天国”になっているのではないか。
福田氏が述懐したように、“官僚”という公務員が事実上国家権力を握り、今でも「お上」として君臨しているのではないのか。 そうあってはならないと、国民の代表である国会議員が、「官」に対する「政」の優越を目指して戦おうとしたが、どうも上手くいっていない。今の民主党政権は、逆に官僚の手玉に取られているのだ。
税金の使い道と使い方について、国民の意識が非常に高まってきたと思う。経済不況にあえぐ国民としては、当然の関心事ではあるが、21世紀の日本を“役人天国”と絶対に言わせないように、徹底した監視を強化していく必要がある。
それと同時に、全ての国民が、「公務員は公僕」だという認識を改めて頭の中に叩き込む必要がある。学校教育でも、教師は生徒に対して、そのことを徹底的に教え込んで欲しい。
その一番は、日本人が税金をきちんと払うことです。
欧米は、結構税金の捕捉率は低いのですから。
だが、本当に天国なのは国で、地方はそうでもないと思います。それは、地方は常に市民に対応していることと、市長が選挙で直接選ばれるからです。国は国民に対応することなどまったくないのですから。
私は、横浜の区役所に勤務したことがありますが、いつも区民の苦情で大変でした。
役所が天国というのは、結局は日本が途上国だったからで、途上国では国が上から国民を指導し、命令しなくてはいけないからです。
ただ、民主党が、反官僚を言ったのはバカでしたね。官僚に敵う議員など、小沢一郎くらいしかいなかったのですから。
この一文は大ざっぱなものですから、それを一緒くたにしたようで反省しています。
日本が高度成長で伸び盛りの頃と今とでは、税収の余裕や使い道でずいぶん差があるのでしょう。
立派な公務員も大勢いるはずですから、いつまでも「役人天国」と言っておれないはずです。
この記事は、たしかに一面しか見ていないと反省しています。
国の全税収約100兆円に対して
正規公務員給与予算が年間32兆円
非正規公務員給与予算(物件費扱い)が2兆円
公務員関連事務統計作業外部委託費が6兆円
特殊法人関連補助金(ほぼ人件費)が4兆円
公務員共済年金職域加算支給の積立不足補填分が2兆円
人件費に関わるものだけで年間合計46兆円もの公務員関連支出がなされています
公務員関連施設の維持費や業務に関わる物品購入などを合算すれば
税収の50%以上が公務員の業務のためだけに使われている現実があります
全労働者に占める公務員割合が10%を切る先進国で、税収の50%以上の額面を公務員関連予算で消費している国がどこにあるのか と言う話です
インフラや業務の維持のために必要となる経費はまだ構わないでしょうが、地方自治体平均年収の170%の水準となっている地方公務員給与などは大いに削減の余地があります
議員自身が公務員であり、同時に与野党共に支持基盤に多数の公務員票を含む事から、これらの問題に言及している政党が維新の会程度しか存在していないのは国家にとって誠に憂慮するべき事態であると言わざるを得ませんね
「役人天国」を少しでも変えられるように、今後も前向きに考えていこうと思います。
ありがとうございました。