矢嶋武弘・Takehiroの部屋

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ある孝行息子からの手紙(阪神・淡路大震災)

2024年12月02日 14時30分19秒 | エッセイ・私事など

<以下の記事は2021年1月17日に書いたものです。阪神・淡路大震災から満26年がたっていました。>

6434人の犠牲者を出した阪神・淡路大震災から、今日で丸26年を迎えた。テレビなどでいろいろ報道しているが、いつも思い出すのが、犠牲になったある大学生から母親に宛てた手紙である。
この手紙に接したある音楽家が感動して、バラード曲をつくったことを新聞で知り私も忘れられなくなった。手紙の主は当時 神戸大学生だった加藤貴光さん(21歳)で、大震災で亡くなる2年ほど前に母親の律子さんに贈ったものである。 
律子さんは大学に入学した貴光さんの下宿先のマンション(兵庫県西宮市)を訪ねた後、広島へ帰る直前に息子さんから受け取ったものだ。その手紙を読んで、私も感動し涙にむせんだ。内容をご紹介したい。

「親愛なる母上様
あなたが私に生命を与えてくださってから、早いものでもう20年になります。これまでに、ほんのひとときとして、あなたの優しく、温かく、大きく、そして強い愛を感じなかったことはありませんでした。
私はあなたから多くの羽根をいただいてきました。人を愛すること、自分を戒めること、人に愛されること・・・。この20年で、私の翼には立派な羽根がそろってゆきました。 そして今、私は、この翼で大空へ翔び立とうとしています。誰よりも高く、強く、自在に飛べるこの翼で。
 これからの私は、行き先も明確でなく、とても苦しい“旅”をすることになるでしょう。疲れて休むこともあり、間違った方向へ行くことも多々あることと思います。しかし、私は精一杯やってみるつもりです。あなたの、そしてみんなの希望と期待を無にしないためにも、力の続く限り翔び続けます。
 こんな私ですが、これからもしっかり見守っていてください。住む所は遠く離れていても、心は互いのもとにあるのです。決してあなたはひとりではないのですから・・・。それでは、くれぐれもおからだに気をつけて、また逢える日を心待ちにしております。最後に、あなたを母にしてくださった神様に感謝の意をこめて。」

この手紙を贈られて、律子さんは新幹線で広島に帰るまで涙が止まらなかったという。 貴光君の夢は、国連の職員になることだった。彼が今も健在であれば、努力し勉強してきっとその夢を実現させていただろう。 しかし、あの大震災は貴光君の夢を一瞬にして打ち砕いてしまった。彼は倒壊したマンションの下敷きになって亡くなったのである。


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2 コメント

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Unknown (おキヨ)
2020-04-25 14:10:51
このような美しいを心を持った若者を神様はなぜ召されてしまうでしょう。と思わずにいられません。
この俗世に生かしておくことを良しとされなかった?と思わずにいられませんね。
この手紙を読んだ人は誰もが涙すると思います。
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神々の愛でし人 (矢嶋武弘)
2020-04-26 04:21:31
才能のある人が早世すると、よく「神々の愛でし人」だと言いますね。それと似たものだと思います。
でも、それだと神様は少し残酷ではないでしょうか。
こんなに素晴らしい若者が亡くなるとは、まったく惜しいと言わざるを得ません。残念です。
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