唱歌『冬の夜』を聴いていると、昔、母が歌っていた尻取りの手毬歌(てまりうた)を思い出す。亡き母は明治37年(1904年)の生まれだから、ちょうど日露戦争の真っ最中である。母は祖父から日露戦争の話をよく聞いたという。
そして、少女の頃に親しんだ尻取りの手毬歌をよく口ずさんでいた。私はそれをなんとなく覚えてしまったが、けっこう面白い内容だった。
「にっぽんの・乃木さんが・凱旋す・スズメ・メジロ・ロシヤ・野蛮国・クロパトキン・金の玉・負けて逃げるはチャンチャンボウ・棒で叩くは犬殺し・死んでも命があるように・・・」(初めの「にっぽん」に続く)
これが歌の内容だが、乃木さんは乃木希典大将、クロパトキンはロシア軍のクロポトキン総司令官のことで、チャンチャンボウはたしか、当時の中国人を蔑視した言葉のようだ。
調べてみると、歌詞はいろいろあるようだが、手毬歌ももう古い日本文化の一つになってしまったのだろう。しかし、『冬の夜』を聴くたびに、私はこの尻取り手毬歌を思い出してしまうのだ。 (2023年1月13日)
~冬の夜~NHK東京児童合唱団:PART-Ⅰ