ポジャギアートYangja-pang

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KBF報告5(作品展4)

2014-09-03 22:39:00 | KBF2014
前回、ソウル近郊のヘイリ芸術村で開催された作品展の図録に
Jihae Sin(신지해)、Jungsook Ham(함정숙)というお二方の作品が掲載されていました。
前者はハングル文字を抽象化してびっしり刺繍したパーツの四角繋ぎ
後者は分厚な布地と太い線で構成された、きわめてsimplifyされた四角繋ぎ
(こちらは図録の裏表紙にも使われています)
両方とも正統的な四角繋ぎのチョガッポでありながら、とてもポップです。

Hyun Galleryは、それらの作品がぎゅっとつまった空間でした。



写真が小さすぎて、質感はよくわからないかもしれませんが
刺繍はまるでビロードのよう。ひとつひとつが、かなり凝っています。
こういうのを見ると、なぜか妙に嬉しくなってくる私!(^^)!

全部じゃないけど、かなり頑張ってUPしてしまいました。


おそろしく乱暴で大雑把な私見ではありますが、
コンテンポラリーアートとしてポジャギをとらえようとする場合、
東洋人はなぜか具象に向かい、西洋人は抽象に向かうような気がします。
ところが、そもそもチョガッポの魅力の一部はその抽象性にあるわけですから
ある意味、欧米的な感覚はその本質を受け入れやすかったのではないか。
今回、さまざまな国から参加したアーティストたちの話を聞いているうちに
そんな思いがますます強まりました。
その意味でこのギャラリーの作品群は、本質的なポジャギの枠組みを踏襲しつつ
新たな形の抽象に向かっているような気がします。

……な~んて、意味不明のことをぐたぐたと書きましたが
要は、四角繋ぎの可能性は無限大なのだなあといったところで……(~o~)

さて、次回はいよいよ外国人作家を中心とした“Gallery NORI”へ。
ウチの子にもようやく会うことができます。


KBF報告4(作品展3)

2014-09-02 21:12:00 | KBF2014
今回KBFが作品展を開催した5つのギャラリーを順番にたどっていくと
Jeoji Artist Villageの敷地内をほぼ縦断する形になります。
ということはつまり、よほど先を急がなければざっと見もままなりません。
しかし、2番目の「墨書のある家」は、最も広く作品数も多かったにもかかわらず、
いや、それだからこそかもしれませんが、
否応なく目に飛び込んでくるものが思いのほか少ないギャラリーでありました。
こう言っては誤解を招くかもしれませんが、
現代的な感覚をポジャギに盛り込もうとしてはいるもの
現時点で私が求める方向性とは、いささか違っているような(*_*)

とはいえ、印象に残っている作品はもちろんたくさんあって
見た目は斬新でも、手法はきわめてオーソドックスだったり




逆に一見トラディショナルでも、細かいところに面白い技巧を凝らしていたり






ルーマニアはブカレストからやってきた、このような作品もありました。
(BLUE-YELLOW‐RED)


ブカレスト芸術大学大学院の学生達による作品ですが
後日、KBFのロゴ制作者でもあるAnna Maria Orban氏のレクチャーによって、
その誕生のいきさつが説明され、とても興味深いものがありました。
確かに、技術的にはまだ稚拙な部分もあるかもしれないけれど
新しいものに挑もう!といったパワーが感じられて、好きな作品です。
初めてポジャギに出会った時の感動は、どこの国でも同じなんだなあ。

しか~し! 感慨にふけっているヒマはありません。
まだまだ先は長いっ!
次回は、個人的にはいまの気分に最もミートした
ギャラリー[HYUN]をご紹介します。


あまりに作品数が多かったせいか、ギャラリーと作品との「位置関係」が
一部あやふやになっている箇所もあります。
なぜか作品の印象が違う場所にすり替わっていることも(^_^;)
今回、私はなぜかこの「墨書のある家」と、
次のギャラリー[HYUN]を一部混同していました。
後から写真とじっくり眺めて、記憶を修正しましたが
その結果、本来であれば頭に残るべき作品群が、きれいさっぱり抜け落ちていることに気づき
いささか愕然としているところです。
見ていない筈はありません。
ということは、今の自分にはあまり必要ないものだったのでしょうか
……謎です(*_*)




KBF報告3(作品展2)

2014-09-01 19:27:00 | KBF2014
その昔、ある新進気鋭の美術評論家から、
「美術館では、まず一周駆けながら見るべし!」と言われたことがあります。
いま君が必要としているものは、必ず目の中に飛び込んでくるのだから、
次の一周でそれらをじっくり見ればよい。
言い換えれば、よいものが目に入ってこないのは、
君自身の感覚が鈍いからなのだと……(ー_ー)!!

しか~し!
今回は駆け足のみで精一杯。後からじっくり…の時間がありませんでした。
それでも、見るべきものは目に入っているだろうという根拠のない自信のもとに(爆)
オープニング会場であったGyudang Gallery(グルオルムチプ)の続きを、
ごく一部ではありますがご紹介します。

このようなタイプは、やはりポジャギの基本にして王道でしょう。


よけいな装飾や妙なデザインに頼ることなく、
どうしたら、この美しい伝統に現代性を持たせることができるか
これこそ“Bojagi & Beyond”の永遠のテーマでしょう。



色というものの捉え方も、時代によって変わって当然ですが、
選択肢が少ない中で目いっぱい色を使っていた時代と
山のような色の中から選択せざるを得ない時代の
どちらが幸福なのか……なんて思ったりして(*_*)




もっと、もっと見ていたいのだけれど、
温故知新の感慨に浸っている間はないのだ!
というわけで次回は、
2番目に駆け込んだギャラリー“墨の香る家”をご紹介します。


KBF報告2(作品展1)

2014-08-31 15:27:00 | KBF2014
これから、ほぼ時系列でKBFの内容をご紹介していきたいと思います。
あまり興味をひかれない内容もあるかと思われますが、そこはスルーしてくださいね。
また、今回日本からのプログラム参加者は私1人だったので
(注:作品展への出品者はほかにもおられますが)
英語が聞き取れなかったための誤りも多々あろうかと思われます。
そのへんは、どうかご容赦のほど^_^;

さて! 8月24日13:00、会場のRAON Hotelにて
オーガナイザーであるChungie Lee氏による開会の辞に続き、レクチャーが始まりました。

写真左より、Chungie Lee、司会進行役のVictoria Gail-White
そして、
Dr.Hur Dongwha(絲田刺繍博物館館長)
Jukka Savolainen(ヘルシンキ美術館ディレクター)
Okhyun Kim(同徳女子大学名誉教授)
Akiko Kotani(Slippery Rock Univ.名誉教授)



2日目からは場所を移したために撮りにくくなってしまい、
レクチャラーのまともな写真があるのは初日だけですが^_^;
まあ、こんな感じで連日3時間ほぼぶっ続けのレクチャーが展開されます。
許東華氏のお話はとくに目新しいものではありませんでしたが(←おいっ!)
イケメンのSavolainen氏は、インダストリアルデザインとアートの融合について
Okhyun Kim氏はセクトンおよび五方色の歴史について、
日系アメリカ人アーティストのA.Kotani氏は、“Atavism”(隔世遺伝)をキーワードに
過去の記憶や伝統を現代アートにいかに持続させるかについて。
初日から脳内疲労がどどっ…と(@_@;)

その疲労を回復させる間もなく、
16:00からJeoji Artist Villageでの作品展“Bojagi & Beyond”巡りが始まります。
Jeoji Artist Village(楮旨文化芸術人村)とは、済州現代美術館を中心に
30棟以上ものスタジオ及びギャラリーを擁する広大なスペース。



今回KBFは、そのうち5つのギャラリーで作品展を開催しています。



原生林と草原のど真ん中と言ってしまうと、ミもフタもありませんが
場所だけは十分にあります。しかし、それだけに歩きでが……
それをたった2時間で廻れって、どういうことよっ(ー_ー)!!と怒りつつも
何はともあれ、オープニングの光景(らしきもの)をひとつ。



草田キルト博物館のキム・スンヒ館長のお姿もありますね。
ここでまた延々とご挨拶が続きます(時間がないのにぃ~)
私メは早く作品たちを見たくて気もそぞろ……

オープニング会場でもあった「Gueuloreumjip」(Gyudang Gallery)
(たぶん…すみません、建物の写真が行方不明なんです)には、
絲田刺繍博物館の所蔵品やアンティークを復刻した作品も含め、
伝統的な様相の濃いものが飾られている
……という話なんですが、中にはそうでもないのもあり、
ここらへんのセレクションはいささか謎です。
でもまあ、それはともかく個人的にはこういった作品が大好きだし、
(許東華氏のコレクションです)



レクチャラーの1人であるLeland M. Hill氏によるこのようなセンスにも惹かれるし



精緻な刺繍でアンティークを復刻したポジャギにも釘づけだけれど



やっぱり圧巻は、プログラムにも採用されているJoungsook Lee氏の作品でしょう。
この方は、先日ローマ教皇が訪韓されたとき、
朴大統領が贈られた繍褓を作られたんだそうです。お友達情報によると、
まだ詳細は不明ながら、10月に東京の韓国文化院でも見られるらしい(*^_^*)



出入り口に近い通路のようなところに飾ってあったので
私が行ったときは人の頭がなかなか途切れず、退いて撮れませんでしたが
びっちり刺繍が施された小パーツが84枚、中央の大パーツが4枚接ぎ合わされています。
これと似た模様は木版で見たことはありますけど、まさか刺繍とは(@_@;)





いや~、それにしてもすごい作品だったわ。
いささかくたびれてきたので、今日はこのへんで。
作品展レポはまだまだ続きますよ*\(^o^)/*

※KBFは基本的にすべて撮影OKだったので、
写真はずいぶん撮りましたが
弱小なれどもオープンなブログゆえ、写真掲載には気を使う必要があります。
したがって掲載できるものが限られるとは思いますが
できるだけ雰囲気がわかるよう努力する所存です。何卒ご容赦のほど^_^;


KBF報告1

2014-08-30 15:33:00 | KBF2014
おそらく私のポジャギ人生(!?)において大きな転機となるであろう
済州島でのKOREA BOJAGI FORAM(以下KBF)から無事戻ってまいりました。
あまりに多くの興奮と刺激と、それと同じくらいの叱咤と激励を頂き、
「このままではいかん!」という思いが頭をぐるぐると駆け巡った一週間でした。


(会場のRaon Hotel Jeju)

KBFの前身であるHands of Koreaの存在を知ったのは2010年頃。
2012年には、第1回KBFがソウル近郊ヘイリ芸術村で開催されています。
しかしその前から、Chungie Leeという方の活動は、とても気になっていました。
(彼女のHPはこちら

弘益大学校(略称・弘大)をはじめアメリカやフィンランドで教鞭をとり
ファイバーアーティストとしても活躍するChungie Lee氏の作品は
まさに“Bojagi & Beyond”というタイトルが示すとおり、
コンテンポラリーアートとしてのポジャギの可能性を感じさせてくれたからです。
そのChungie Lee氏がオーガナイザーを務めるKBFをこの目で見たいという思いは
機を逸した前回からフツフツと湧いていたのですが、
その思いが遥かサンフランシスコまで届いたものか、
FB友にして同地在住のポジャギ作家・Youngmin Lee氏を通じて
Chungie Lee氏に作品の写真を見ていただくことができました。
その結果、なんと私自身がKBFに出展&参加するという驚天動地の展開に(@_@;)
いや~ 人生何が起こるかわからないものです。
私のようなものには文字通りブタに真珠だと思う方も多いでしょうが
運も才能のうち…ということで(~o~)



↑の写真は、参加者全員に配布されたトートバッグ、ネームカード、プログラム
そして、26名(!)のレクチャー内容が記されたレジュメブック。
ちなみに今回のテーマは、
“From Traditional Bojagi To Contemporary Sudtainable Textile”
(伝統的なポジャギから現代に支持されるテキスタイルへ)←まずい訳ですみません(^_^;)
なので、レクチャーの多くがアートとポジャギの接点を模索する内容でしたが
プログラムの中扉は、まさに伝統の扉を開くようなイメージ。



Joungsook Lee氏による大作です。
最初にこの写真を見たとき、「あ~、これ木版ね。それにしても細かくてきれい」
などと思っていたのですが、なんとこれ、総刺繍なんですよ。
翌日、実物を見て驚愕したのですが、その話はまたあとで……

ページを開くと、左側にはハングル



右側には英語で、スケジュールが記載されています。



これ見ただけでも、何やら武者震いが起こりそうではありませんか。
しかし実際に初日のオープニングセレモニーが始まり、
速射砲のような英語にさらされると、もはや考えるよりついていくので精一杯。
……というわけで、次回は作品展のお話を!