ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『キャロル』を観て

2016年02月23日 | 2010年代映画(外国)
現在上映中の『キャロル』(トッド・ヘインズ監督、2015年)を観てきた。

1952年、ニューヨーク。
ジャーナリストになるためにマンハッタンに出て来たテレーズは、デパートの玩具売り場でクリスマスシーズンの臨時アルバイトをしている。
テレーズには、なかなか結婚には踏み切れないでいるリチャードという恋人がいた。
そんなある日、テレーズの前に、娘へのクリスマスプレゼントに人形を探している女性キャロルが現れる。
エレガントで洗練された美しさを持ち、裕福そうなのにどこかミステリアスな雰囲気を醸す彼女に、テレーズはたちまち心を奪われる・・・・
(Movie Walkerより)

期待して観たけど、まあ、はっきり言って、昔からあるような定番映画だった。
主演の、“ケイト・ブランシェット”のキャロルと“ルーニー・マーラ”のテレーズが出会って会話し、その会話によって物語の筋が進行していく。
淡々とドラマが流れ、映像は人物中心で背景には気を配らない。
こういう映画の撮り方には、私はもう食傷気味で、映像的にハッとさせられないと面白くもなんともない。所詮、映画は映像だから。
こんな具合で、心地よくウトウトして来る。
しかし、折角観に来たのでと気を引き締める。それでも、やっぱり同じ繰り返し。

第一、キャロルと夫との仲、その娘の親権問題。
そして、テレーズと彼氏、ぐらいの内容のプライベートな話(本当は、もう少しあるけど)。
深い心理描写があるわけでもなく、個々の人間性が剥き出しになるわけでもなし。
わたしには関係ありません、どうでもいいや、となってしまう。

と、大半がそんな風で、それでも終盤、キャロルとテレーズの関係が露わになり、その心理に観ているこちらも緊張が走る。
このまま、最後まで突っ走ってくれれば、今までのことは帳消し、と目を光らしていたら、ラストはやっぱり定番どおり。
オレだったらラストは絶対、強烈な印象が残るよう、こう創ってやるのにと勝手なことを思う。

やっぱり、この年になってこのような映画は向かないかもしれない。
若いカップルが観れば、この作品はとってもいい映画で、十分満足のいく素晴らしい映画だろうなと、ふっと思った。
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『火星の人』を読んで

2016年02月23日 | 本(小説ほか)
読むといいと勧められた『火星の人』(アンディ・ウィアー著、ハヤカワ文庫)を、やっと読み終えることができた。

有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。
だが、不運はそれだけで終わらない。
火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマール・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。
ところがーーー。奇跡的にマークは生きていた・・・・
(裏表紙から一部抜粋)

火星にたった一人で取り残されたワトニーが、生き延びる方法、そしていかにしたら、わずかしかない地球への帰還を希望し、
持てる知識をフル回転させながら、問題にひとつずつ取り組んでいく。
しかし、なにしろ火星のこと。一難去ってまた一難、アクシデント続き。
それを、ワトニーは持ち前のプラス思考で解決し、日記体報告書として記録する。
そのことが物語の中心となっているけど、勿論、NASAの長官以下の重要メンバーや、
ワトニーを残して飛び立った“ヘルメス”のクルーたちも救出に向けて大活躍する。

SFジャンルの小説だとしても、今までのイメージと全く違った内容作りで、テンポよく軽快に話が進んでいく。
だから、とても読み易いし楽しめる。
けれども、専門用語もまた多い。この専門用語が曲者で、訳ではカタカナ文字のまま。
これを、ヘタに日本語に直そうとすれば造語しなければならないし、肝心のテンポも狂うだろう。
しかし、カタカナ文字の単語は、物事がわかったようで実際のところはよくわからない。
明確なイメージがつかめない。そこのところが気分的にどうも少しイライラする。
折角読むのだから、細部まで具体的な物語の印象として残しておきたい気がするのに。
今後このように、ますますカタカナ単語が氾濫するのだろうかと思うと、ちょっと不安になってくる。
そして、巷にこのカタカナ単語や名称を数個のアルファベットに略した単語があふれて来ているのが気にかかる。

それにしても、勧められなければ自分からはたぶん読むことはない小説だったから、その点、どんなに感謝してもしきれない。
コメント (4)
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