ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

成瀬巳喜男・8~『めし』

2020年02月24日 | 日本映画
『めし』(成瀬巳喜男監督、1951年)を観た。

大恋愛の末に結ばれた岡本初之輔と三千代。
結婚から5年を経て、今は大阪に在住する夫婦は倦怠期に突入していた。
世間からは美男美女の幸福な家庭と見られているが、些細なことで衝突が続く。

そんな中、初之輔の姪である里子が家出して、東京から大阪へやってきた。
家計をやりくりしながら家事に追われるだけの日々に、疑問を持ち不満をつのらせていた三千代は、初之輔と里子の楽しそうな姿にも苛立ちを覚える。

三千代は里子に帰京を促し、里子を送る名目で東京の実家に里帰りする。
そして久々に、のんびりとした時間を過ごす。

三千代は自立も考えていとこに東京での職探しを頼み、悶々としていた・・・
(Wikipediaより一部修正)

岡本夫婦は、上原謙と原節子。

小津作品で見慣れているはずの原節子が、所帯やつれで痛々しい。
林芙美子の未完としても原作となれば、やはりニッチも行かない生活がベースとなる。
そんな中での家庭夫婦。

原節子の“こんなはずでなかったのに”との思いの表情。
のほほんと飯を食い新聞を読む夫を見る目つき。
皮肉なことに、この夫婦が喧嘩にならないのは、夫が妻の気持ちを察する洞察力もなく脳天気なため。
こんな中に、あっけらかんとした里子が二人の生活を無意識にかき回す。

三千代は離婚を胸に秘め、東京の実家に帰る。
でも、彼女にとって居心地のいいのは数日だけ。

結婚してまだ5年だと言うのに、三千代をこのような思いにさせるのは、やはり世の中の仕組みのためか。
ラストで明るさを取り戻したとしても、やはり原節子は小津作品のヒロインように明るくさせてあげたいと、心から願うばかりだった。
コメント (2)
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