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『鰯雲』(成瀬巳喜男監督、1958年)を観た。
東京近郊の、厚木附近の農村。
東洋新聞の厚木通信部の記者・大川は農家の実態を記事にするため、八重の家を訪ねた。
ハ重は夫を戦争で失い、姑のヒデをかかえ、一人息子の正を育てながら農事に精出してきた。
彼女は女学校を出てい、たまたま大川と一緒に入った町の食堂「千登世」の女主人は、そのときの同級生の千枝だった。
八重の兄・和助は同じ村に住んでいるが、親子八人の大世帯である。
昔は十町歩からの大地主だったが、農地改革でわずか一町八反しか残らなかった。
今の嫁は三人目であった。
長男の初治の嫁探しを八重は頼まれていた。
大川の持ってきた話を調べに二人は山奥の村へ行った。
その娘みち子の義理の母は、和助の最初の妻とよだった。
農事がうまく出来ぬと、和助の父がむりやり追い出したのだ。
八重と大川は、その夜帰りのバスに乗りそびれ、一夜を共にした・・・
(Movie Walkerより一部抜粋)
東京近郊の農村が舞台となっているが、そこでの農家一家の関係が分かりにくく、最初は相当戸惑う。
それを整理しておくと、
本家・和助には、3番目の現在の妻タネとの間に、順三以下男女4人の子がいる。
最初の妻とよは、長男の初治を産んですぐに離縁させられている。
二人目の嫁の子が、次男の信次である。
作品の主人公である八重は、和助の妹で戦争未亡人。
息子正と姑のヒデと住んでいる。
あと、分家の大次郎とやすえ。二人には娘浜子がいる。
このような関係の中で、八重は世帯持ちの大川と関係を持ち、彼を忘れられなくなっていく。
縁談話があった初治は、もともととよの子で、みち子はとよからすると前妻の子という間柄である。
その二人が気が合ってその後のことを、自分たちで決めていこうとする。
もう一組。
和助は傾いた土地を立て直す方法として、三男順三と分家の浜子を結び付けようと目論む。
しかし浜子は、気の合う次男信次との間で妊娠してしまう。
これらが絡み合って、戦前大地主だった和助は、家と田畑を守るために戦後の農地改革以後も意識が変えられないままで来ている。
分家の子、浜子が大学に行きたがっていると聞くと、大学出の娘に婿が来るか、と乗り込むほどである。
このような兄に対して、八重の考えは世の中の流れに沿っていて、意見もはっきりしている。
銀行に勤める信次は農家を嫌って下宿生活を始める。
そればかりか、順三も東京で自動車の修理工になろうとしている。
はたまた、初治とみち子は結婚式を後回しにして、食堂「千登世」の二階に間借りして住み始める。
和助ととよが、婿と嫁の親同士として30年ぶりに会う。
その和助が、自分たちの辛かった新婚当時と比べると、今の若い者は思い切ったことをやると、しみじみ言う。
和助にとって、この結婚は近所の手前、昔ながらの盛大な結婚式の、その費用の金策が悩みのタネとなっている。
だが初治は、現代的に公民館で会費制でやろうと考え、そして、信次と浜子の式も一緒にやろうとしている。
大川が東京へ転勤することになって、見送りにくるはずの八重は、気持ちを振り切るように一人青々とした田の中で働く。
空には、久し振りの鰯雲が漂っている。
やや入り組んだ内容としても、個々の役者の持ち味が際立っていて、観ていくうちにすんなりと物語にのめり込んでいく。
特に、主演の淡島千景は、モンペ姿になっても艶やかでピカイチ。
他の俳優名を挙げれば、名前だらけになるので敢えて省略。
それにしても成瀬巳喜男の演出は、新旧世代交代のドラマを流暢なカラー作品にピッチリとまとめ上げる。
その手法には、ただただ感心するほかない。
東京近郊の、厚木附近の農村。
東洋新聞の厚木通信部の記者・大川は農家の実態を記事にするため、八重の家を訪ねた。
ハ重は夫を戦争で失い、姑のヒデをかかえ、一人息子の正を育てながら農事に精出してきた。
彼女は女学校を出てい、たまたま大川と一緒に入った町の食堂「千登世」の女主人は、そのときの同級生の千枝だった。
八重の兄・和助は同じ村に住んでいるが、親子八人の大世帯である。
昔は十町歩からの大地主だったが、農地改革でわずか一町八反しか残らなかった。
今の嫁は三人目であった。
長男の初治の嫁探しを八重は頼まれていた。
大川の持ってきた話を調べに二人は山奥の村へ行った。
その娘みち子の義理の母は、和助の最初の妻とよだった。
農事がうまく出来ぬと、和助の父がむりやり追い出したのだ。
八重と大川は、その夜帰りのバスに乗りそびれ、一夜を共にした・・・
(Movie Walkerより一部抜粋)
東京近郊の農村が舞台となっているが、そこでの農家一家の関係が分かりにくく、最初は相当戸惑う。
それを整理しておくと、
本家・和助には、3番目の現在の妻タネとの間に、順三以下男女4人の子がいる。
最初の妻とよは、長男の初治を産んですぐに離縁させられている。
二人目の嫁の子が、次男の信次である。
作品の主人公である八重は、和助の妹で戦争未亡人。
息子正と姑のヒデと住んでいる。
あと、分家の大次郎とやすえ。二人には娘浜子がいる。
このような関係の中で、八重は世帯持ちの大川と関係を持ち、彼を忘れられなくなっていく。
縁談話があった初治は、もともととよの子で、みち子はとよからすると前妻の子という間柄である。
その二人が気が合ってその後のことを、自分たちで決めていこうとする。
もう一組。
和助は傾いた土地を立て直す方法として、三男順三と分家の浜子を結び付けようと目論む。
しかし浜子は、気の合う次男信次との間で妊娠してしまう。
これらが絡み合って、戦前大地主だった和助は、家と田畑を守るために戦後の農地改革以後も意識が変えられないままで来ている。
分家の子、浜子が大学に行きたがっていると聞くと、大学出の娘に婿が来るか、と乗り込むほどである。
このような兄に対して、八重の考えは世の中の流れに沿っていて、意見もはっきりしている。
銀行に勤める信次は農家を嫌って下宿生活を始める。
そればかりか、順三も東京で自動車の修理工になろうとしている。
はたまた、初治とみち子は結婚式を後回しにして、食堂「千登世」の二階に間借りして住み始める。
和助ととよが、婿と嫁の親同士として30年ぶりに会う。
その和助が、自分たちの辛かった新婚当時と比べると、今の若い者は思い切ったことをやると、しみじみ言う。
和助にとって、この結婚は近所の手前、昔ながらの盛大な結婚式の、その費用の金策が悩みのタネとなっている。
だが初治は、現代的に公民館で会費制でやろうと考え、そして、信次と浜子の式も一緒にやろうとしている。
大川が東京へ転勤することになって、見送りにくるはずの八重は、気持ちを振り切るように一人青々とした田の中で働く。
空には、久し振りの鰯雲が漂っている。
やや入り組んだ内容としても、個々の役者の持ち味が際立っていて、観ていくうちにすんなりと物語にのめり込んでいく。
特に、主演の淡島千景は、モンペ姿になっても艶やかでピカイチ。
他の俳優名を挙げれば、名前だらけになるので敢えて省略。
それにしても成瀬巳喜男の演出は、新旧世代交代のドラマを流暢なカラー作品にピッチリとまとめ上げる。
その手法には、ただただ感心するほかない。
になりますので 劇場ではなくBSプレミアム等で観ることになりますが
総天然色の表示が レトロでいいですね。
ポスターの配役を見ると現在存命中は 司葉子氏と水野久美氏だけ
ではないですかね。
加東大介氏や木村功氏も 七人の侍 は全員もう鬼籍に入りましたね。
淡島千景氏と森繁久彌氏の 夫婦善哉 を以前BSプレミアムで観ました。
しっかり者の芸者上がりの千景さんと 大店のドラ息子森繁氏の
何とも言えないコンビが似合っていました。千景氏のハスキーな声が
これもまた良かった。この『鰯雲』は成瀬巳喜男監督 橋本忍脚本なら
きっと素晴らしい作品だと思います。BSでやらんかなぁ・・。
この作品本当に名優さんがズラリで、例えば姑の飯田蝶子さん、出番は少ないのに嫌みを言う所なんかは強烈な印象です。
それと、和助が中村鴈治郎で友達の千枝が新珠美千代とか、その他いっぱい出ています。
でもこうして60年も経てば、昔の人という感じになってしまい、とっても懐かしいです。
実はこの作品と前回の「晩菊」、レンタルビデオ店とかにはなく、いろいろ調べたところ図書館の閉架庫にVHSがありました。
このような作品は、もっともっと日の目が当たるような存在になってほしいと感じています。