ポケットの中で映画を温めて

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『光のノスタルジア』 と 『真珠のボタン』 を観て

2015年12月03日 | 2010年代映画(外国)
『光のノスタルジア』(2010年)と『真珠のボタン』(2015年)を観た。
チリのパトリシオ・グスマン監督によるドキュメンタリー映画である。

『光のノスタルジア』
チリ・アタカマ砂漠。
標高3,000メートルの高地、空気も乾燥しているため天文観測拠点として世界中から天文学者たちが集まってくる。
だが一方でここは、政治犯として捕らわれた人々の遺体が埋まるピノチェト軍事政権下の弾圧の地でもあった。
生命の起源を求め天文学者たちが遠い銀河を探索するかたわらで、行方不明になった肉親の遺骨を捜し、砂漠を掘り返す女性たち・・・・
(Movie Walkerより)

『真珠のボタン』
チリ南部に位置する西パタゴニアは無数の島や岩礁、フィヨルドが存在する。
世界最大の群島と海洋線が広がり、かつて水と星を生命の象徴として崇めた先住民が住んでいた。
その海底で発見されたボタンが、植民者による先住民大量虐殺、ピノチェト独裁政権下で海に投げられた犠牲者たちの歴史を繋ぐ。
(Movie Walkerより)

片や、チリ北部の砂漠で天空の過去からの情報を受け取り、宇宙の起源を知ろうとする天文学者たち。
そして、もう一方の作品は、生物にとって一番大事な水をテーマとして、チリ南部を舞台に追及する。
その両作品に共通するのが、人間の過去についてである。
それは、ピノチェト将軍の政権下で政治弾圧を受け、生き残った人の証言であったり、砂漠で当時の遺骨を探す女性である。
また、先住民が迫害されてきた歴史や、軍政権により殺害された人達が海に捨てられた証言である。

テレビや新聞等で、いろいろと外国についての情報が流れている。
しかし、日本から遠く離れた地球の裏側のこの小さな国のことを、私たちはどれ程知っているのだろうか。
余程、主体的に意識して情報を集めなければ、チリのことは伝わって来ないのではないだろうか。
宇宙と光、水、そして自然のなかの人間。これらのことを、美しい映像で鋭く映し出すこの作品を観て、そう思う。

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