花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

寒露の養生

2015-10-08 | 二十四節気の養生


寒露(10月8日)は、二十四節気の第17番目の節気である。気温はさらに下降し、一日一日ますます増大してゆく陰寒の気によって、草木に凍らんばかりの冷たい露が宿るので寒露と称する。秋の燥気に寒冷が加算された気候となり、自然の萬物が黄色く枯れゆく深秋を迎える。この時期の感冒、呼吸器感染症やその他の疾病予防のためには、身体の保温が大切である。「白露身不露、寒露脚不露」という言葉があるが、先の節気の白露を過ぎれば諸肌を脱ぎになって上半身の肌を見せることはせず、寒露を過ぎたら裸足は避けて足(脚は足首より下の部分)の保温に努めねばならないという教えである。足は言うまでもなく躯幹より一番離れた遠位端にあり、皮膚組織も薄く、最も冷えやすいので大切に守らねばならない。また足三陰経の太陰脾経、厥陰肝経、少陰腎経が起こるのは各々、足の第1趾にある隠白(SP1)、太敦(LV1)、および第五趾の下(少陰腎経はここから斜めに足底部の湧泉(KI1)に走る)である。これらの経絡の気血運行が障害されるとひいては全身に影響をもたらすことになり、まさしく身体の冷えは足から生じるのである。

秋の野に 咲ける秋萩 秋風に 靡ける上に 秋の露置けり    万葉集 巻第八 大伴宿禰家持