
木版画・明治40年/乾山・銹絵染付金銀白彩松波文蓋物(出光美術館蔵)写
知人が本日お届け下さった銘菓の掛紙に「われみても ひさしくなりぬ すみのえの きしのひめまつ いくよへぬらん」の歌が記されていた。『古今和歌集』(巻第十七、雑歌上 読人知らず)に収載された歌である。『伊勢物語』(第百十七段)、『和漢朗詠集』(巻下・松)では住吉の岸の姫松と詠われている。
我見ても久しくなりぬ住の江の岸の姫松いく世経ぬらむ
(小沢正夫, 松田成穂校注・訳:日本古典文学全集11「古今和歌集」, p343, 小学館, 1994)
われみても久しくなりぬ住吉のきしの姫松いくよへぬらむ
(川口久雄, 志田延義校注:日本古典文学大系73「和漢朗詠集 梁塵秘抄」, p158, 岩波書店, 和漢朗詠集, 1974)
むかし、みかど、住吉に御幸したまひけり。
我見ても久しくなりぬ住吉の岸の姫松いくよへぬらむ
おほん神、現形し給ひて、
むつましと君は白浪瑞垣の久しき世よりいはひそめてき
(大津有一校注:岩波文庫「伊勢物語」, p74, 岩波書店, 1994)

木版画・明治26年