花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

時│花便り

2021-02-26 | アート・文化
悲劇も喜劇も包み込んで流れる時は非情である。そこに安らぎを覚え永遠を思い慈愛を感じることができるのは、現状に満足を得た人々である。時の流れに逆らうこともできずに生きなくてはならない人間に、時は残酷ですらある。死に向かって流れる「時」と、すべてを包み込んで流れる「時」とは、異なるふたつの「時」なのである。

(第三章 時と廃墟の哲学、2「廃駅」を中心に│尾形明子著「田山花袋というカオス」, p231, 沖積舎, 1999)