早春発村 原采蘋
抛却人間事 人間の事を抛却(ほうきゃく)して
心頭無所営 心頭 営む所無し
浪遊占餘適 浪遊 余適を占め
独往不期程 独往 程を期さず
咄咄書空雁 咄咄として空に書する雁
嚶嚶出谷鶯 嚶嚶として谷を出づる鶯
留連応有限 留連 応に限り有るべし
吾亦蹈春行 吾も亦た春を蹈みて行かん
「江戸漢詩選 下」, p310-313 / 「原采蘋 詩と生涯」, p367-368
参考資料:
小谷喜久江著:「原采蘋 詩と生涯---孝と自我の狭間で」, 笠間書院, 2017
揖斐高編訳:「江戸漢詩選 下」, p310-313, 岩波書店, 2021