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私の日本漢方の師匠、三谷和男先生曰く、「漢方は人を怠け者にする医学」である。勤勉な人を怠け者にする医学が人を救うのである。教えを頂いた弟子の私は、その後のささやかな臨床経験を通してこの教えの重要性を痛感した。極言すれば「養生とは周囲に不義理をすることと見つけたり」であった。向こうに気を遣いあれも筋を通さねば等々、そうあるべきと思うゴールをひたすらめざし続ける限り、自分の心身は何時も二の次とならざるを得ない方々が少なからずおられる。まさしく《鶴女房症候群》あるいは《スタンバイ症候群》の確実例である。このようにいい加減でよいのかしらんと懸念されるぐらいで御心配なく、六割の合格点などすでに遥か突破なさっておられます。