韓国語学習のための翻訳で営利目的はありません。
著者:キム・ホヨン
(10)
新しい雇用主は10日後に新しいコンビニをオープンするから急いでくれと言った。新年を新しい職場で始めるのだ。シヒョンは心配半分、申し訳なさ半分で社長さんが来るのを待った。夕方の時間には、まるで退勤するように立ち寄って彼女に一日の状況を確認する社長さんが、これからはシヒョンではなく別の人に報告を受けなければならないだろう。それも申し訳なく感じている最中に社長さんが白い袋を持って入ってきた。
「たい焼きを買って来たので一緒に食べよう。」
シヒョンは白い袋の中に可愛く並んでいるたい焼きを一つ取った。社長さんの温かい心のようなたい焼きを思い切って頭からちぎって食べた。そして社長さんに一部始終を説明した。社長さんはたい焼きを食べないでただシヒョンの話を聞いた。全部聞いてしまった彼女はシヒョンを見ながらたい焼きをぼりぼりかじった。
「よかったね。」
「申し訳ありません。急に辞めると言って・・・。」
「いいえ。あなたはとても長く働いているから、私が最後まで責任を持たなければならないのかと心配していたの。良かった、本当に。」
「無理ににそう言われるのがわかっています。」
「そう聞こえたの?」
「はい。」
「じゃ、本当のことを話す。そうでなければあなたを解雇しようと思った。あなたも知っているとおり、売り上げが思わしくないし。その上、オ女史やドッコさんも仕事をもっとしたいと言うので・・・あなたの業務時間を私やオ女史、ドッコさんが分担して給与支出を減らそうと思ったのよ。」
「え?」
「売り上げが減れば人を減らさなければならないので、オ女史もドッコさんもこれが唯一の生計手段なので。解雇することができないじゃない。それで、あなたはいずれにしても家で食べさせてもらっているし、試験も少し残っているじゃない。これで勉強に集中しなさいという口実で解雇できると思ったの。」
「え・冗談ですよね?」
「本当よ。」
「冗談だとおっしゃってください。そうでなくても寂しいから。」
「寂しくて悲しくても後も振り返らずに出ていくでしょう。出て行って別の所に行ってみてここが懐かしくなるでしょう。懐かしくて有難さも増すでしょう。そうじゃない?」
「今もう有難いです!」
シヒョンは目が潤むのを感じた。老練な社長さんは笑いながら、またたい焼きをぼりぼりかじった。シヒョンも涙をこらえて、たい焼きをかじった。甘い小豆の食感が彼女の舌をくすぐった。