読書感想322 扇動者
著者 : ジェフリー・ディーヴァー
生年 : 1950年
出身地 : 米国シカゴ生まれ
出版年 : 2015年
邦訳出版年 : 2016年
邦訳出版社 : (株)文藝春秋
訳者 : 池田真紀子CBI9
☆☆感想☆☆☆
キャサリン・ダンスを主人公にしたシリーズの第4作。舞台はカリフォルニア州の風光明媚なモンテレー。カリフォルニア州捜査局(CBI)の捜査官のキャサリンはボディランゲージを手掛かりにして人の思考を読み取るキネシクスの専門家。そのキャサリンがキネシクスを駆使して麻薬ネットワークについて不利な証言をするというセラーノの事情聴取をして無罪放免した後で、実は麻薬ネットワークの殺し屋であることが判明する。キャサリンのキネシクスの信用は崩れ去り、キャサリンは銃の携帯使用を禁じられて民事部に配置換えされる。その同時期にコンサート会場で外部の火事の煙が充満して観客が非常口に殺到し多数の死傷者が出る事件が発生する。非常口の外にはトラックが止まっていてドアが開かなかったのだ。キャサリンは権限がないにもかかわらず、上司には内緒でこの事件の関係者の事情聴取を行う。同じようなパニック事件が続く。しかしキャサリンには犯人の動機がわからない。
キャサリンには亡くなったFBI捜査官の夫との間に2人の子供がいる。12歳のウェスと10歳のマギー。2人の気持ちがキャサリンにはよくわからない。そしてキャサリンの現在の恋人、コンピューターの専門家のジョン・ボーリングと、昔からの友人のモンテレー郡保安官事務所の刑事部長マイケル・オニールがキャサリンを支えてくれる。
本編の中には日本と関係するものが多数出てくる。文化的な親和性がこんなに進展しているのかとびっくりした。まず、車はホンダ、日産、トヨタ、レクサスとほとんど日本製だ。ゲームではニンテンドー、ソニーのプレイステーション。漫画は日本で買ってきたというデスノート。さらに日系の下院議員に、第二次世界大戦中の日系人たちの強制収容所の跡地まで。
ゲームやビデオ、映画の残酷なシーンが殺人欲求を高め、それを実際に見たいという欲求が需要としてあるというのが本編のすべての謎の背後にある。
今まで読んだキャサリン・ダンスのシリーズの中で一番納得したし、印象的だった。