読書感想191 スパイは泳ぎつづける
著者 ヨアキム・サンデル
出身地 スウェーデン、ストックホルム
生年 1975年
出版年 2013年
邦訳出版年 2014年
邦訳出版社 (株)早川書房
☆☆感想☆☆
1980年にシリアのダマスカスで一つのテロ事件が起きる。特殊任務のために妻子を捨てるつもりだった男は、自分の乗るはずだった車に乗った妻が爆死するのを目撃する。男は生まれて間もない娘と残される。赤ん坊は母親の祖国であるスウェーデン大使館の前に捨てられ、僻地のサンクト・アンナ諸島で祖父母に育てられる。
それから33年後、スウェーデンのウプサラ大学の博士課程で学んでいるマフムード・シャモシュは、兵役時代の旧友からのメールを受け取る。
お前を見張っている者がいるから気をつけろ。ブリュッセルで会おう。
そしてブリュッセルで再開した旧友はマフムードの目の前で殺され、マフムードも何者かに追われる羽目に陥る。
マフムードはブリュッセルの欧州議会で働いている、元彼女のクララに助けを求める。
舞台がスウェーデン、ベルギー、フランスと駆け巡る。ヨーロッパが一つの国になっていると実感する。登場人物も中東のアラブ系の移民2世、フランス人、スウェーデン人、アメリカ人と多国籍。語り手が3人いて交互に体験している状況を語る。マフムード、クララ、クララの父にあたる男だ。男の独白はほとんどアメリカでの事件のない日々を語っている。マフムードとクララは命がけの逃走劇の中で事件の真相を探らなければならない。緊迫した状況の語り部だ。
最初と33年後のテロの関係とその犯人が意外だし、肩透かしを食らう感じだ。