読書感想288 ニューヨーク1954
著者 ディヴィッド・C・テイラー
出身地 米国ニューヨーク
出版年 2015年
邦訳出版年 2017年
訳者 鈴木恵
邦訳出版社 (株)早川書房
受賞歴 ネロ・ウルフ賞受賞
アメリカ探偵作家クラブのエドガー賞最優秀長編賞候補
☆☆感想☆☆
1953年の大晦日小さな2つの事件から物語は始まる。大晦日のニューヨークの高級ホテル、ウォルドーフ・アストリア・ホテルから5人連れがリムジンに乗り込むのが目撃される。ひどく不細工な女とそれに手を貸す映画スターのようにハンサムな20代の男。そしてもう1件はニューヨーク市警の刑事マイケル・キャシディがドラックストア強盗を追いかけてロイ・コーンの車を妨げ、ロイ・コーンの怒りを買う。ロイ・コーンは実在の人物で上院調査小委員会顧問として、赤狩りを行っていたジョー・マッカーシー上院議員の右腕で、1951年に連邦検事としてソ連のスパイだったとされるローゼンバーグ夫妻への死刑判決を勝ち取って名をあげた人物。
1954年3月に拷問された男の死体がニューヨークの安アパートで発見される。ハンサムな若いダンサーだった。その担当になったのはキャシディ刑事。FBIも捜査に入ってくる。そしてキャシディを事件の捜査から外そうとする。
実在する人物もロイ・コーンとジョー・マッカーシー以外にFBI長官J・エドガー・フーヴァー、ギャングのフランク・コステロなど出てきて1950年代初頭のニューヨークの雰囲気が伝わってくる。