①12番目のカード
著者 : ジェフリー・ディヴァー
生年 : 1950年
出身地 : アメリカ、シカゴ
出版年 : 2005年
邦訳出版年 : 2006年
邦訳出版社 : (株)文藝春秋
訳者 : 池田真紀子
コメント:
リンカーン・ライム・シリーズの第6作目にあたる。今回は単純な強姦未遂事件と考えられた事件が、実はアメリカの歴史をも揺るがす大事件に結びついているというスケールの大きい話になっている。ことの発端は博物館で先祖の解放奴隷チャールズ・シングルトンのことを調べていた、ハーレム高校に通うジェニーヴァが襲われそうになったことだ。機転をきかせて難を逃れたジェニーヴァはリンカーン・ライムやアメリア・サックスのチームの庇護下に入るが、以後も命を狙われ続ける。思いもつかない動機とアメリカの法律の有効性にびっくりした。
②魔術師
著者 : ジェフリー・ディヴァー
生年 : 1950年
出身地 : アメリカ、シカゴ
出版年 : 2003年
邦訳出版年 : 2004年
邦訳出版社 : (株)文藝春秋
訳者 : 池田真紀子
コメント:
リンカーン・ライム・シリーズの第5作目にあたる。大都市ニューヨークのあちこちで数時間おきに連続殺人事件が発生する。犯人は観客の目の前で脱出パフォーマンスを演じるかのように消えてしまう。ニューヨーク市警の顧問の科学捜査専門家のリンカーン・ライムと鑑識捜査官のアメリア・サックスのチームはプロのマジシャンの犯行と推測する。プロのマジシャン、イリュージョニスト(魔術師)を目指すカーラの協力を得ながら犯人を捜す。火を使うマジックを得意としていたエリック・ウィアーにたどり着く。しかし火がもとで妻を亡くしたエリックは何年も前から姿を消していた。2回3回とどんでん返しがあって犯人と動機にたどりつく。いつも思うが動機が俗っぽいお金目当てに落ち着くので犯罪者は犯罪者に過ぎないという著者の哲学が貫かれていると思う。
③影に潜む
著者 : ロバート・B・パーカー
生年 : 1932年
出身地 : アメリカ
出版年 : 2003年
邦訳出版年 : 2004年
邦訳出版社 : (株)早川書房
訳者 : 菊池光
コメント:
ジェッシイ・ストーン・シリーズの第4作にあたる。ジェッシイはパラダイスという町の警察署長。動機もつながりもない連続射殺事件が起こる。ジェッシイの恋人のアビイも犠牲になる。犯人たちの会話や行動とジェッシイたちの会話や行動が交互に出てくる。最初から読者には犯人が分かっている。その犯人にどうたどり着くかが犯人と捜査チームの頭脳戦である。ゆきずりの快楽殺人犯という設定になっている。どろどろした因縁はでてこないので意外とさっぱりしている。
④ビューティフル・ファミリー
著者 : トニー・パーソンズ
生年 : 1955年
出身地 : イギリス
出版年 : 2002年
邦訳出版年 : 2003年
邦訳出版社 : (株)河出書房新社
訳者 : 小田島恒志 小田島則子
コメント:
本書は「ビューティフル・ボーイ」の続編とか。「ビューティフル・ボーイ」は世界35か国で出版され、180万部を超えるベストセラーになっているという。本書で著者の作品を初めて読んだが、子供に対する愛情があふれているのに驚いた。離婚して子連れで再婚し、新しい家庭を作る大変さが描かれているが、一貫して離婚して離れ離れになった子供への配慮が第一に置かれている。実際には子供というのは二の次にされ、新しい配偶者が第一にされるのが通常だ。本書で描かれている父親は理想だし、なかなかいないからこそ、本書が人気があるのかもしれない。また日本人が出てくるが、礼儀正しいとかべた褒め状態でこれも驚いた。著者が現在日本人の女性と結婚しているそうだから、それも影響しているのかもしれない。