①Bullet train 面白さ(5点満点)☆☆☆
制作年・国 : 2020年 アメリカ 主演 : ブラッド・ピット
コメント : 東京発の新幹線の中で殺し屋に狙われる運の悪い男。ただトランクを見つけて下車す
るように依頼されただけなのに。伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を基にしてい
るとか。全編おふざけで、日本人は規律を守る四角張った人々として登場するだけ。
②ハリウッド的殺人事件 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 20003年 アメリカ 主演 : ハリソン・フォード
コメント : 副業で忙しいハリウッドの刑事たち。一人は不動産業、一人は俳優業。犯人を追跡す
るなかでも副業の電話が入る。ベテラン刑事はお金のため、若い刑事は夢のためが面
白い。
③マネーボール 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2011年 アメリカ 主演 : ブラッド・ピット
コメント : 貧乏球団アスレチックスは補強する資金がなく、どこの球団も試みたことのないデー
タ野球で再建する。実話に基づいている。何年か前に見たことがあるが、何度見ても
面白い。
④カリフォルニア・クリスマス 面白さ(5点満点)☆☆☆
制作年・国 : 2020年 アメリカ 主演 : ローレン・スウイッカード
コメント : 牧場を買い取りに富豪の放蕩息子がやって来る。手違いから牧場で働く季節労働者
と間違えられる。一緒に働くようになって牧場の人の気持ちがわかるようになる。
⑤聖なるgoal 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2017年 スペイン 主演 : カラ・エレハルデ
コメント : スペインの修道院が赤字続きで豪華ホテルに転売される話が持ち上がる。修道院を
残すために、修道士たちがサッカー・チームをつくり、カソリック・リーグで勝ち
上がり、ローマの決勝戦に臨んで、ローマ教皇に嘆願しようと計画する。サッカー
を愛する国柄がよくわかって面白い。
⑥スペンサー・コンフィデンシャル 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2020年 アメリカ 主演 : マーク・ウォールバーグ
コメント : 上司をなぐって5年の懲役刑を終えて出所した元警官。その日になぐった上司が殺
されて殺人容疑がかけられる。
⑦説き伏せられて 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2007年 イギリス 主演 :サリー・ホーキンス
コメント : ジェーン・オースティンの小説の映画化。以前見た「説得」は同じ小説を基にして
いても、アメリカ映画のせいか、19世紀初頭のイギリスの上流階級に黒人がいた
り、ありえない想定が目に余ったが、今回はすべて白人だったので、一応19世紀初
頭の上流階級の雰囲気を保っていた。別れた恋人たちが女性は淑やかで、男性は男
らしく魅力的だったので恋愛映画として安心して見ていられた。
⑧42世界を変えた男 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2013年 アメリカ 主演 : チャドウィック・ボーズマン
コメント : 黒人で初めてメジャーリーグで活躍したジャッキー・ロビンソンの実話。メジャー
リーグに黒人は入れなくて、別のリーグを作っていて、ロビンソンはそこで素晴ら
しい成績をあげていた。ロビンソンを採用したブルックリン・ドジャーズのオーナ
ーの想いも決断もすごい。
⑨星明かりを見上げれば 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2022年 中国 主演 : チュ―・イーロン
コメント : 祖母を亡くした幼い孫娘とムショ帰りで父親の葬儀屋を引き継いだ男が、ひょんな
ことから同居することになる。祖母に会いたがる幼女が切ない。
⑩地下鉄に乗って 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2006年 日本 主演 : 堤真一
コメント : 父親に反発して絶縁状態だった次男が、地下鉄に乗るとタイムスリップして若い日
の父親にめぐりあう。いつしか父親を理解するようになる。堤真一が若いので驚い
た。
⑪プレミアム・ラッシュ 面白さ(5点満点)☆☆☆☆
制作年・国 : 2012年 アメリカ 主演 : ジョセフ・ゴードン=レヴィット
コメント : 自転車でニューヨークの車道を走り抜けてメッセージを運ぶメッセンジャーが、悪
徳刑事に追いかけられ、メッセージを奪われそうになる。中国人のマフィアや中国
人の不法入国を仕切る蛇頭が出てきたり、ニューヨークの中国人社会を舞台にして
いる。
著者 : ドナテッラ・ディ・ピエトラントニオ
生年 : 1962年
出身地 : イタリア 中部アブルッツォ州
出版年 : 2017年
邦訳出版年 : 2021年
邦訳出版社 : (株)小学館
受賞 : カンピエッロ賞 アラッシオ賞 ナポリ賞
訳者 : 関口英子
★☆☆感想☆☆
13歳になった「わたし」は海辺の町から山村の実の両親のもとに戻されることになった。裕福な家の一人娘として育てられていた「わたし」は見ず知らずの実家に戻された。想像を絶する貧しい実家には、無愛想な母親と寡黙ですぐ手が出る父親に、兄3人と10歳になる妹、栄養不良で発育の遅れている赤ん坊の弟がいた。「わたし」は戻された理由もわからず、新しい環境に慣れて行かなければならなかった。おねしょをする妹と同じベッドで兄たちとも同室。妹のアドリアーナと長兄のヴィンチェンツォが「わたし」に関心をもってくれる。
アドリアーナと「わたし」の初めての会話。
ーそれまで弟を見ていた女の子の翳のある眼差しが、伏せたままわたしにむけられた。真新しい靴の金色
の留め金を熱心に見定めてから、おろしたてのワンピースにまだぴしっとついている青いプリーツに沿
って視線をあげた。彼女の背後で大きな蠅が飛びまわり、ときおり壁にぶつかりながら、外に出られる
隙間を探していた。
「その服も、あの人に買ってもらったん?」女の子が小声で尋ねた。
「昨日、この家に戻るために買っくれたの」
「あの人はあんたのなに?」好奇心をあらわにしている。
「遠い親戚の叔父さん。昨日まで、あの人と、あの人の奥さんとくらしてたの」
「じゃあ、誰があんたの母さん?」ためらいがちに訊いた。
「二人いて、一人はあなたのお母さん」
「ときどき、姉ちゃんがいるって言ってたけど、あいつの言うことはあんまり信用できん」
そう言うと、いきなりわたしの服の袖を物欲しげに二本の指でつまんだ。
「このふく、もう少ししたらあんたには小さくなる。来年はうちがお下がりでもらうから、汚さんよう
に気ぃつけて」ー
ヴィンチェンツォとの初対面。
ー「おまえ、ここでねてたのか?」大人になりかけた男の声で問いかけられた。
わたしはどぎまぎしながら、そうだと答えた。相手はこちらを露骨に眺めまわしている。
「15歳?」
「ううん、こんど14になるところ」
「でも、15か、もっと上に見える。早熟なんだな」兄はそう結論づけた。
「そっちは?」わたしも社交辞令として訊き返した。
「じき18。俺がいちばん上だ。もう働いているけど、今日は休みさ」
「どうして?」
「雇い主が来なくていいって。必要なときだけ声がかかるんだ」
「なんの仕事をしてるの?」
「現場作業員」
「学校は?」
「学校なんてくだらない。中2のときに中退したよ。どうせ落第だったしな」ー
実の両親の娘に対して負い目を持つ気持ちも良く描かれている。アドリアーナとヴィンチェンツォがまっすぐで大胆不敵なところがよく似ている。一線を越えてしまう危うさがヴィンチェンツォの魅力になっている。
姉妹の続編「ボルゴ・スッド」が2020年に刊行されたそうだ。日本での翻訳出版が待ちどおしい。