読書感想261 鷲は飛び立った
著者 ジャック・ヒギンズ
生年 1929年
出身地 イギリス
出版年 1991年
邦訳出版年 1997年
出版社 (株)早川書房
翻訳者 菊池光
☆☆感想☆☆
本書は「鷲は舞い降りた」の続編。チャーチル首相の誘拐に失敗し戦死したと思われていた、ドイツ落下傘部隊隊長のクルト・シュタイナ中佐はロンドン塔に幽閉されていた。それを知ったナチ親衛隊のヒムラー長官はシュタイナ中佐の奪還を命じる。その実行者として白羽の矢が立ったのは、シュタイナ中佐とともにチャーチル首相誘拐計画に参加したIRAのデヴリン。落下傘部隊の隊員が戦死するなか、デヴリンは傷を負った副隊長のノイマン中尉を助け迎えに来た飛行機に乗った。帰還したのは二人だけだ。前作同様、本書でも勇猛果敢で臨機応変なスーパーヒーローのデヴリンが大活躍する。舞台はデヴリンとともにポルトガルのリスボン、ベルリン、北アイルランド、そしてロンドンに移る。どうやってデヴリンはロンドン塔に潜入するのだろうか。IRAのデヴリンを追うイギリスのドゥガル・マンロゥ准将、そしてデヴリンに恨みを持つギャングのジャック・カーヴァーとエリックの兄弟。デヴリンの協力者はアイルランド人の運転手マイケル・ライアンとその姪メリィ。そしてナチズムに共鳴しているマックスウエル・ショウ男爵と妹のラヴィニア。アメリカ人パイロットのエイサ・ヴォーンやフランク・マーティン神父もなくてはならない登場人物だ。第二次世界大戦時なので、飛行機も武器も今と比べるとアナログで、個人の技術や勇気が状況を左右する。そこが冒険小説の冒険小説たる所以であるし、醍醐味だ。