
読書感想146 殺戮の女神
著者 テア・ドルン
生年 1970年
出身地 ドイツ、フランクフルト
受賞歴 デビュー作品「ベルリンの啓蒙」で
1995年度マーロイ賞
本作品で2000年度「ドイツ・ミステリー大賞」
出版年 1999年
邦訳出版年 2001年
邦訳出版社 〈株〉扶桑社
訳者 小津薫
感想
ベルリンで猟奇的な殺人事件が立て続けに起きる。中年から初老の男が殺害され、頭が切断され持ち去られている。最初の被害者はベルリンの新聞社の女たらしの編集局長、2番目は引退した真面目な市立図書館司書、3番目はペルガモン博物館の夜警、そしてペルガモン博物館で模写していた彫刻家…。しかも最初の事件の第一発見者の編集局長の夫人は現場の自宅を完璧に清掃してから、犯人と名乗り出て拘置所の中で自殺する。警察は娘のイザベレを重要参考人として探す。最初の被害者の部下の女性記者キュラ・ベルクが事件を追い始める。
女たらしの編集局長を始めとして、登場人物の多くが性的に放縦で変態だ。変態の極致はもちろん真犯人だ。敏腕記者のキュラが主人公だが、いまいち滅茶苦茶なところがあって周囲の人に信用されない。それで大切な同僚が殺されるのを座視してしまう。ここはちょっと無理がある。明らかに犯人だと確信した時点で、警察に協力を頼むとか手が打てたはずだ。真犯人の異常な犯行はわかるが、もうひとつ性格や動機がわかりづらい。特殊な育ち方で全部説明できないからだ。