読書感想320 ソウル・コレクター
著者 : ジェフリー・ディーヴァー
生年 : 1950年
出身国 : アメリカ合衆国
出版年 : 2008年
邦訳出版年 : 2009年
邦訳出版社 : (株)文藝春秋
訳者 : 池田真紀子
★☆感想☆☆
首から下が動かせないリンカーン・ライムが介護士のトム・レストンや恋人のニューヨーク市警の刑事アメリア・サックスなどの助けを得ながら事件を解決していくシリーズ。今回はリンカーンのいとこのアーサー・ライムが殺人罪で逮捕されるという事件が起こる。アーサーは被害者との面識もないと全面的に殺人容疑を否認しているが、証拠はアーサーに不利だ。犯行現場からアーサーの靴跡や日常的に使っているシェービングクリームやお菓子の痕跡が出て、アーサーの車からは被害者の血液が付着したものが発見された。被害者の高価な絵を盗まれ、絵をアーサーらしき人物が車に積み込むのを目撃したという警察への電話まであった。しかし、絵は発見されていない。リンカーンはあまりに出来すぎている状況から、同じような事件がなかったか、調べさせるといくつも出てくる。また、アーサーと被害者の接点が高価な絵のダイレクトメールにあること、そしてアーサーの生活の情報が細部にわたって真犯人に知られていることに気づく。そして、コンピューターによって顧客の莫大な情報を集めている会社SSDにたどりつく。
アーサーとリンカーンの不和の原因も明らかになる。真犯人によって個人情報を悪用され破滅させられた整形外科医が復讐の機会を狙い、リンカーンのチームのロナルド・プラスキーが個人情報を悪用され、家庭崩壊の危機に立たされたり、アメリアが真犯人と何度か遭遇したりしながら、真相に近づいていく。
あまり事件とは関係なく必要ないエピソードもあって、長すぎるきらいもある。情報化社会の恐ろしさは存分に伝わってくるストーリー展開である。