風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

洗濯機がウイルスにやられたか

2021年10月15日 | 「新エッセイ集2021」

 

洗濯機がウイルスにやられたか 風呂の水は飲むけれど 水道水は受けつけなくて ギブアップジャブアップ なんだか朝からアップアップ シャツもパンツもアララアララ 物干し竿もアッケラカンで 空はアオゾラ日本晴れ 風もアッサリ爽やか乾燥 なのにああそれなのに 洗濯機の君はアカンタレ おじいさんは山へ柴刈りに おばあさんは川へ洗濯に そんな昔でもないけれど 東京練馬のアパートで ひとり暮らしをしてた頃 たまたま母が上京してきて 押し入れにこっそり溜めていた 汚れたままのパンツや靴下 シャツやらハンカチやら引っぱり出したが 洗濯機などあるはずなくて 母はどこかで洗濯板を買ってきて 一日中洗濯女になってたっけ あの洗濯板がまだ有ったはず 今どきゴシゴシやるのも新鮮かも 体力強化になるかもとか そこまでちらっと考えてはみたれど いまさら日向の海岸の 鬼の洗濯板ならず 諦めきれずに洗濯機とにらめっこ スマホにパソコンにキーボード 阿呆ほど鍛えたこの指で いろいろボタンを押してはみたが コースもよし 風呂水もよし 乾燥もよし どうして給水だけがアウトなのか ネットであれこれ検索してみたが 答えが有りすぎてちんぷんかんぷん 犬も食わない夏の餅を食いながら 思いついたは餅は餅屋 洗濯機は洗濯機屋だと パナソニックに修理を頼むため フリーダイヤルで電話するが もしもしと言っても返事はなくて ナニナニの方は1のボタンを 2のボタンを3のボタンをと ここでもまたまたボタンボタン まどろっこしいやらややこしいやら やっと人らしいひとの声にほっと 状況説明やら見積りやら 出張費が3千いくらで 大体1万5千円くらいかかるとか お支払いはクレジットカードでとか 洗濯機も最後はカネで動くんか でも洗濯板には戻りたくないし 8年も頑張ってくれたんやさかい しゃあないやんか腹きめな 清潔好きなおまはんのため ドンブラコッコのおばあさんのため 水掛け不動さん蝶子はん もうひと踏んばり頼んます 脱水機能ばかり精出して ときには給水もせえへんかったら めまいや嘔吐や意識障害 ほんま脱水症に罹りまっせ






 


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