風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

春愁

2019年03月19日 | 「新エッセイ集2019」

 

きょう卒業した
冬の小鳥が山へかえる日
赤いリボンをつけたホオジロが
ぼくの手を飛びたった

椿の木から木蓮の木へ
ためらいもなく羽はうつり
空の色に
吸い込まれて消えた

いまも手のひらに残っている
小さな温もりと鼓動
饒舌だった庭の木がいま
さみしさで震えている

椿よ木蓮よキミよ
とっとと赤いリボンをつけて
舞いあがれ空へ
春愁の羽に触れてこい

 

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2 コメント

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Unknown (熊子の百葉箱)
2019-03-20 14:43:26
品のよい言葉が躊躇いもなく
心に口があるならば、詩を
心地よく飲んでしまいました。
返信する
心の口に (yo-yo)
2019-03-20 17:30:35
熊子の百葉箱さん
いつも、ありがとうございます。

熊子さんの心の口に合いましたでしょうか。
せめて、
風邪薬ほどの効能でもあればいいのですが。

返信する

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