知足

自然と共に素敵に生きたい

生物多様性条約 COP10

2010年11月03日 | 環境問題

 先月名古屋で開催された「地球いきもの会議」『生物多様性条約 第10回締約国会議』の会場に行ってきました!!仕事の関係で本会場のサイドイベントに出席してきました。国際条約の会議に参加するのは初めてだったので、興味津々、すごく勉強になることが沢山ありました。

 何かと分かりづらいと言われる「生物多様性」ですが、COP10で何が話し合われたか、私なりに紹介しますね。

 環境問題に詳しい方ならおそらく1992年のリオの地球サミットについては知っている人も多いと思いますが、この会議で2つの条約について各国の署名が開始されました。
一つは、「気候変動枠組条約」で、その後「京都議定書」の発効へと繋がる温暖化問題の条約ですが、もう一つが「生物多様性条約」だったのです。

 この生物多様性条約で、生物の多様性がいかに重要であり、また人類共通の財産であることが国際的にも認知され、またその危機的状況の解決に向けて世界が動き出した訳です。

 今年2010年は、「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という「2010年目標(2002年に採択)」が達成されたかを検証する年でもあったのですが、世界全体でみても、また日本においてもこの目標は達成できなかったと発表されたのですね。
これは、本当に深刻なことです。生物多様性の減少による経済的損失は、年間2.5兆~4.5兆ドルとも言われています。生物の絶滅スピードも減速するどころか高まってしまっています。

 では、達成できなかった2010年目標の後、どうして行こうか?どうやってこの危機的な状況を世界中の人が協力して解決していくか、その次なる目標を決めるのが、このCOP10の主要議題だった訳です。ですので、日本は議長国を務めた訳ですから、その責任は重大だったと思います。

 先日、COP10は閉幕しましたが、ポスト2010年目標として「愛知ターゲット」を採択できたのは、実に大きな成果だったと思います。

【愛知ターゲット】
 COP10で採択された「愛知ターゲット」は、2050年までの中長期目標、2020年までの短期目標と20の個別目標からなっています。

中長期目標:「2050年までに、生態系サービスを維持し、健全な地球を維持し全ての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される」

短期目標:「2020年までに生態系が強靱で基礎的なサービスを提供できるよう、生物多様性の損失を止めるために、実効的かつ緊急の行動を起こす」

 20の個別目標は、「劣化した生態系の15%以上を回復する」、「外来種の侵入を防ぐ」といった具体的な内容となっていて、その中には、「人的・資金的能力が増大する」というのがあります。「遅くとも2020年までに、政府、ビジネス及びあらゆるレベルの関係者が、持続可能な生産及び消費のための計画を達成するための行動を行い、又はそのための計画を実施しており、また自然資源の利用の影響を生態学的限界の十分安全な範囲内に抑える。」という内容になっています。これは政府だけでなく、市民や企業にも取り組みを求められることを意味するものですし、真面目に考えるとものすごく大変な内容だと思いますね。

 CO2が経済に組み込まれたように、生物多様性も経済に組み込むことがCOP10でも議論されました。既にCOP8において企業への参加を促すことが採択され、“生物多様性版スターン・レビュー”と称されるTEEB「生態系と生物多様性の経済学」の報告書がCOP10中に発表されました。
 この報告書の中には、生物多様性の保全を企業文化の中に取り込むことが提言されています。これまで無料のサービスであると受け止められてきた自然の恵み(生態系サービス)の価値を可視化するのがこのTEEBの役割ですが、これによって企業や私たちの生活がいかに自然の恵みの上で成り立っていたか、またどれだけ生態系に影響を与えているかが改めて認識され、問われることになります。

【名古屋議定書】
 COP10では、その他にも様々な採択がされたのですが、もう一つ注目を集めたのが、「名古屋議定書」と呼ばれる「遺伝資源の利用と配分(ABSと言います)に関する国際ルールがあります。
 生物多様性条約の中では、多様性には「種の多様性、遺伝子の多様性、生態系の多様性」という3つの多様性があるとしています。
 この中の一つ「遺伝子の多様性」について、条約では、「遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること」というのが決まっていたのですが、ではどうやって公正かつ衡平に配分するかを決めたルールについては、ずーと決まらなかったのですね。
 やはり途上国と先進国で意見が対立してしまっていて、このCOP10でも最終日までもめている状況でしたから、正直どうなるかと心配しましたが、無事に「名古屋議定書」として、国際ルールが決まりました。今後は、この国際ルールに従って各国が利益の配分を行っていくことになりますので、まさに歴史的な転換点になるものだと思います。

【SATOYAMAイニシアティブ】
 もう一つ私が特に注目しているのは、日本の里地・里山・里海における自然と人間との関わり方を世界に発信する「SATOYAMAイニシアティブ」の推進が決定したことです。
 生物多様性を持続可能な形で保全し、利用していくということは、実は日本人は里地・里山・里海という暮らしのスタイルの中で昔から実践してきたと思います。
 もちろん、現在ではいたるところで里山が破壊され、また管理がされず荒廃していっている現状がありますが、国が世界に向けて里山をアピールする訳ですから、お膝元の日本の里山をいかに保全し、現代のライフスタイルに即した里山との付き合い方を真剣に考えていく絶好の機会だと思っています。

 


愛知ターゲット

2010年10月30日 | 環境問題
COP10、無事に名古屋議定書と愛知ターゲットをまとめ上げ、採択されましたね!!
これは歴史的な前進だと思いますね~。
 
私も一昨日COP10会場に行ってきましたが、国際条約の締約国会議の雰囲気は、すごかったですね。
仕事の関係で行ったので、セキュリティエリアに入ることができたのですが、中に入ると、ここは日本なの?、海外に来たみたいな別世界で、なんとも言えない緊張感が漂ってました。
 
途上国と先進国の溝が深いまま最終日までもめていたのでどうなるか心配しましたが、折衷案とはいえ、採択できて、ホントよかったと思いますね。
 
愛知ターゲットを含むほぼすべての予定されていた議案が採択され、生物多様性の保護が国際的に法的拘束力を持ったことは、歴史的にすごく大きなことだと思います。
 
日本が主張した里山イニシアティブも世界に発信され採択されたことは、南山をはじめ日本の里山をどうやって守っていくか、おひざ元の日本に大きく課せられた課題なので、政府が本気で解決を図っていくことになるだろうし、絶滅危惧種の保護は国家的課題として取り組みが強化されることになると思うので、南山のトウキョウサンショウウオの適正な保護を訴えることもこれまで以上に重要になると思いますね。
 
 

南山Home Pageオープン

2009年10月09日 | 環境問題

南山ネットワーク

東京都 稲城市 南山 都心から約25km、京王線で約30分の里山

今、南山を愛する沢山の市民や団体が南山を残したいという想いから、本当に沢山の活動を展開しています。
そんな市民や団体が手をつなぎ活動を盛り上げていくことが、すごく大事だと思います。

そこで各団体が手を繋ぐネットワークとして、ホームページをオープンすることになりました。

南山ネットワーク ホームページ
http://www.inagi-minamiyama.com/

このホームページは、南山に関するコアサイトを目指していて、このページにアクセスすることで、各種イベントや南山の現状などを知ることができ、また興味を持っていただいた方が気軽に活動に参加できるように情報提供することを目指しています。

是非、南山に遊びに来て、南山を残すようにみんなで盛り上げていきましょう!!

 

 


夏本番 選挙が熱い!

2009年08月09日 | 環境問題

いよいよ夏本番で熱くなってきました。
皆さん、いかがお過ごしですか。

私は、夏休みをとったので、父の畑仕事を手伝ったり、朝早く起きて近くの里山をランニングしたり、夏をそれなりに楽しんでいます(^@^)/

さて、この熱い夏に選挙が熱いですね。
皆さん、マニフェスト読みました?

民主
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/index.html
自民
http://www.jimin.jp/sen_syu45/seisaku/index.html

MAKE The RULEキャンペーンでは、
「未来を選べ! ~衆議院議員選挙の候補者&マニフェスト エコチェック!~」
ということで、環境問題に対する各議員や政党を比較して、環境にやさしい議員や政党を選ぶツールを用意しています。
是非参考にしてみてください。

http://www.maketherule.jp/dr5/eco-check
http://www.maketherule.jp/dr5/manifesto

 


FoE東京Home Pageオープン!

2008年12月01日 | 環境問題

FoE東京のHome Pageが完成しました!

清掃登山や温暖化対策のキャンペーンなど主に関東周辺で活動しています。

そして、毎月FoE Cafe というのをやっていて、Cafeスタイルで美味しいランチを食べながら仲間と語り合い、そこから新たな繋がりを出していくという活動をやっています。

もし興味があったら、参加してみませんか?

詳しくは、こちらまで。

 


FoE東京発足!!

2008年09月20日 | 環境問題

*<☆;:*:;☆:☆;:*:;☆ヽ:*:;☆>o*


今日のFoE Cafeも大盛況でした。
そして、Cafeで正式に「FoE東京」が発足したことをお知らせしました。

地球温暖化、森林伐採、生物多様性、ごみ問題、砂漠化、食糧問題、、、、環境問題っていったいなんだろう。。。
心のどこかで引っかかっているそんな"しこり"。

誰かに言いたい。訴えたい。どうにかしたい。。。。
そんな想いが膨らんで、仲間と気兼ねなく語り合ううちに、未来に希望が見えてくる。

おいしい料理を食べながら、内に秘めている"想い"を語り、"想い"を共有し、明日へと繋げ、ゆるゆると行動していく、、、、そんな素敵な場所「FoE Cafe」。

ここで知り合った仲間たちが、その"想い"を実行に移すために立ち上げたのが、「FoE東京」です。

環境のことに少しでも興味がある方、是非私たちと一緒にゆるゆると行動して行きませんか。
 




価格高騰

2008年05月06日 | 環境問題

 ガソリン価格の高騰、食料品価格の高騰が連日のようにニュースを賑わしています。

 ガソリン価格の高騰のニュースを聞いていると「生活が苦しくなるので困る」といったマイナスな意見がある一方で、「ガソリンが高いので、運転を控えるようにしています」とか「なるべくガソリンを使わないようにエコドライブを心がけるようになりました」といった声もあるようです。
 確かに家計に響く問題ではありますが、見方を変えるとガソリンの消費を抑えることでCO2の削減に繋がるので温暖化問題に対しては、むしろ都合がよいことだとも言えます。
(ただし本来は、ガソリンなど環境に負荷をかける消費に対しては、環境税などを導入して消費者に一定の責任を持ってもらい、消費を抑制するような政策を行うべきだとは思いますが、、、。)

 また、小麦、とうもろこし、大豆などの価格高騰にしても値段が上がっているのは、輸入に頼っている穀物や食料品であり、日本の食料自給率の低さを露呈していると言えます。
 小麦が高くなったことで、主食のお米が見直され需要が伸びているという報道がありました。また大豆についても国産品との値さが減り需要が伸びているそうです。
 また、牛肉1kgを作るのに約7倍の穀物が必要であると言われますが、牛に与える穀物の高騰をうけて贅沢品である牛肉の消費を控えたり、家畜の餌に米粉を使ったりする工夫も始まっているようです。
 低下し続ける食料自給率を少しでも向上させるという見方をすれば、小麦や大豆やトウモロコシの価格高騰もチャンスと捉えることもできます。

 また、中国における材木の需要が急激に伸びていることで、輸入木材の値段が上がり、結果的に国産材の価格競争力が増し、国産材の需要が伸びてきているという話も耳にしました。

 資源や食料を輸入に頼り切っている日本にとって、ガソリンや穀物価格の高騰は大きな痛手ですが、逆に政策転換するチャンスと捉えるべきなのではないでしょうか。

 一方、世界に目を向けると穀物の高騰は途上国にとっては大問題になります。穀物の高騰の背景には、バイオ燃料ブームがあり、主に先進国が使うバイオ燃料を生産するために熱帯諸国の農園開発が進み、アマゾンの森林減少が過去最大になっているという報告もあります。CO2を減らす目的のバイオ燃料が、逆にCO2の吸収源である森林を減少させ、貧しい人々の食料生産を逼迫させているのです。

 わずか一握りの先進国の豊かな暮らしを支えるために招いた化石燃料過剰消費による温暖化の影響は、弱い立場にある途上国の人々の生活を直撃しています。

 価格が高騰して困ると嘆いてばかりいるのではなく、もっと世界に目を向け、高騰の原因は何なのか、私たちはどうするべきなのかを考え、市民一人ひとりが自分たちの生活のあり方を見つめなおすことが大事だと思います。


クライメート・ジャスティス

2008年04月03日 | 環境問題

 「地球温暖化」
 この言葉をニュースや新聞で見聞きしない日はないですね。すっかり社会に浸透した「地球温暖化」問題。
 この「地球温暖化」という現象は、とても沢山の問題を内包しています。

  • 石油などの天然資源に依存する物質偏重社会が抱える問題
  • 世界の水需要が増し「水争奪戦が起きる」と危惧されている水資源問題
  • 先進ヵ国の木材需要や食料を支えるために熱帯雨林などで起きている木材の違法伐採問題
  • 木材の伐採による生物多様性の破壊問題、劣悪な環境での労働を強いられている労働者階級問題
  • 空を真っ暗に覆うほどの黄砂が日本にも多大な問題を引き起こしている砂漠化問題
  • 富める国とそれを支える貧しい国という2極化が進んでいる南北格差問題、、、、

 上げ始めたら数珠繋がりにどんどん出てくるこれらの問題は、「地球温暖化」と密接に関係し合っています。

 「地球温暖化をどう食い止めるか!」
 地球温暖化問題は、現代社会に大きく突きつけられています。21世紀に入った現代、この人類に課せられた問題に対して、世界中で意識の高い人を中心におおきなうねりとなって動き始めているのを感じます。

 温暖化を食い止めること、そしてもう一つとても大事な課題は、地球温暖化と結びついている上にあげたような「今まさに世界中で発生している種々の問題にどう対処するか!!」我々は、真剣に考えていかなければならないと思います。

クライメート・ジャスティス
 これは、気候の公平性 という意味で、先進国に暮らす私たちが、化石燃料を大量消費してきたことで引き起こした地球温暖化への責任を果たし、世界中のすべての人々の暮らしと生態系の尊さを重視した取り組みによって、温暖化を解決しようとするコンセプトです。

  • 「全ての事柄は、どこかで繋がっている。」ということ、
  • 「地球のどこかで起きている現象には、その原因が必ず存在し、その原因は何か一つではなく複数の要因があり、また時間や場所を超越している(因果応報)」ということ、
  • 「そして、全ての現象は、変化し続けている、無常である」ということ

 これらをきちんと理解し、種々の問題をトータル的に考え、取り組んでいく必要があります。これには、世界中で起きている現象に目を向け、かなりの感性と想像力を持って取り組む必要があると感じています。

 


桜の木

2008年04月01日 | 環境問題

桜がまさに満開ですね。
会社からの帰り道に夜空に咲く桜の花を見ているとホント和みますね。

でも先日、兄からメイルがあって、

「実家から駅に行く途中にある立派な桜の木が今年は全く咲いていない」というのです。

「昨年、枝をあまりにも落とされ体調を崩した。あんなに太い幹のある樹幹に対して、あまりにも葉を落とし過ぎてしまい、栄養が全く根へ届かなくなった。 去年、ごっそり枝を落とされたのを見て、いや~な感じがしたのを思い出したよ。これは落としすぎだろって。

どんなに苦しんで死んでいったかを思うと泣けてきました。。。
またひとつの命が失われたってね。

切ったほうも、死なすつもりはなかったはず。
撤去するつもりなら、根元からバッサリいったはず。

駐車場の利用者から葉が車に落ちるからと苦情でもあったのかは知らないけど、死なせてしまうことまで望んでいたのか。。。
もうすこし樹のことを考えていたら、こんなことにはならなかったはず。。。」


 実は先日私も神奈川県の瀬谷(大和の隣)に綺麗な桜並木がある(海軍道路)ということで誘われて花見に行って来たのですが、やはりそこも日当たりが悪いからという理由からか枝がかなり落とされ、なんだかいびつな形の桜の木に悲しげな桜の花が咲いているという感じでした。

 これも住民からのクレームに対してお役所が、何も考えずに伐採を頼んだ結果だと思います。

 生物多様性条約 とか 里山再生 とか 温暖化問題 とか、、、環境問題はいまや世界問題として国を挙げて取り組んでいるものの、自然とは何か、どういう仕組みなのか、といった基本的な知識(生態学とか生物学とか高校生レベルの知識でも充分)が、あまりに欠落していると思います。
 少なくとも街づくりを担当しているお役所は、それぐらいの知識は持っておいて欲しいですよねぇ。。。。

 お役所だけでなく私達市民ももう少し自然について学ぶべきです。
 緑豊かな自然が残る街に住みたいと言っている市民が、その一方で「毛虫はいやだ」、「日当たりが悪くなる、、、」というのでは、何をもって自然なのか、、、緑とは何なのか全く理解していないと思います、、、私達市民も、、余りに身勝手だし、、、無知 ですよね。。。。

 


NGOに参加しませんか!?

2008年03月10日 | 環境問題

FoE Japan主催のシンポジウムに参加してきました。
 「欧州の気候変動政策とNGO ~低炭素社会に向けた市民からの提言~」
 http://www.foejapan.org/lifestyle/energy/event/080308.html

 昨年発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書は、マスコミでも大きく紹介されました。この報告書によって地球温暖化が人間活動に起因することが科学的に明らかにされ、地球規模の気候変動、温暖化がますます進行していることが、一般の人にも広く知らされました。これはとても意味のある歴史的な出来事だったと思います。

 一方、京都議定書 第1約束期間を目前に控え、日本はこのままでは目標達成は非常に厳しいということをマスコミが盛んに報道しています。
 私たちは「地球温暖化」という環境問題について知識として知っています。しかし、気候変動、温暖化がもたらす影響度、深刻度がどれだけのものかしっかりと理解し、自分自身の問題として捉えている人は果たしてどれだけいるのか甚だ疑問に思います。

 今回のシンポジウムではヨーロッパ、特にその中でも環境先進国と言われるドイツとイギリスの政策、NGOの取り組みについて話を聞くことができました。ドイツやイギリスが気候変動、地球温暖化といった環境問題に対して、市民レベル、政府レベル、企業レベルのどのレベルの取り組みにおいても日本よりも遥かに進んでいるということを痛感させられました。

 特に環境NGOの活躍は日本人にとっては信じられないぐらいの規模があり、政府の政策立案、企業の姿勢に対して絶大な影響力を持っていて、その活動の大きさに衝撃を受けました。
 日本では、NGOに参加したり、NGOに資金援助することは、何となく意識の高い人がやることで、偉いなぁ、立派だなぁ、みたいな雰囲気があります。
 しかしヨーロッパでは、NGOに参加するのは言わば当たり前のことで、どのNGOが自分の考えに合っているか、どこのNGOに参加するべきか、ということを若い時から考え行動するのが当たり前であると聞いたことがあります。NGOに対する考えが下地からして日本より遥かに進んでいるのですね。

 例えばドイツでは環境税が法制化される際、NGOの働きかけが絶大な影響力となって市民や国会議員の意識を変えさせ、法案化することに成功したそうです。その時のキャンペーンでは、様々な団体、マスメディアと協同し、世論を動かすことを行ったそうです。特に驚いたのは、国際環境NGO団体であるFoEドイツが、キャンペーン用のコマーシャルを作成し、テレビで放映するといったことも行ったというのです。そのキャンペーン用の映画を見ましたが、すごく良くできていて世論を動かすことができるのも大いに納得できるものでした。
 日本のNGOがコマーシャルを作るなんてことは殆どないと思いますが、ヨーロッパではそれだけの財政力がNGOにあり、絶大な影響力を持っているということなんですね。

 市民の意見を代表するNGOが、政治や経済の流れを変えていく力を持っているということは、すごく羨ましいことだと思いました。私たち日本人ももっと積極的にNGO活動に参加し、環境問題というグローバルな問題に対して市民一人ひとりの意見が大きなうねりとなって世の中を変えていくことができるような社会にしていくことが大事だと今回のシンポジウムを通して改めて思いました。