でも私はどうもこの公園が好きになれません。確かに高木、低木、池、小さなビオトープ、などがきれいに整備されているのですが、何かおかしいのです。
例えば、桜の木に目をやると新緑がとてもきれいなのですが、その足元を見ると根元にじゃりが敷き詰められ、周りは歩きやすいようにタイルになっています。
そう、土が見えないのです。
秋には紅葉し落ち葉が振ってきますが、私はこの公園で落ち葉を見たことがありません。なぜなら落ちるとすぐに、掃除されてしまうからです。
落ち葉、土がないのでそこにいるはずのバクテリアや虫たちもいない。虫がいなければ、捕食する鳥や小動物もいない。ただ木だけが整然と並んでいるだけで、命の息吹が感じられないのです。
緑地化という名の「不自然な自然」作りがいたるところで行われているように思います。
緑を大切に!、自然を大切に!といった声は、とてもよいことですし、こういったことに反対する人はあまりいないと思います。しかし、「自然を大切にする」ということがどういうことか、きちんと考える必要があると思います。
新芽が出て葉が開き、花が咲き、実がなる。太陽と大地の恵みを取り込んで大きくなり、幹を太らせ、葉を広げて光合成を行う。秋には紅葉するものもある。落ち葉は、バクテリアや昆虫によって分解され、花や実や葉は、昆虫の餌となり、その昆虫を餌とする鳥たちがやってくる。自然界ではすべてが繋がりあい、共生しあい、生態系を作っています。
「自然を大切に」することは、特定の植物や特定の動物だけを大切にすることでは成り立ちません。
昆虫は気持ち悪いから、、、
落ち葉は景観を乱すから、、、
枝が電線にひっかかるから、、、
昆虫や落ち葉も含めて許容することが「自然を大切に!」の言葉に含まれていることを私たちは真剣に考える必要があると思うのです。