「地球温暖化」による気候変動の問題は、環境問題、社会問題、経済問題、格差問題など私たちが取り巻く種々の問題の中の一つである」という認識はすごく大事だと考えています。
私たちが未来の子供たちも含めて、この美しい地球上でいかに幸福な暮らしを続けていけるか、戦争も貧困も生物の絶滅も極力ない世界をどのようにビジョンとして描くことができるかがとても重要だと思っています。
つまり、地球のエコロジカルフットプリント内で"持続的"に未来の世代も含めて世界中の人々が幸せを教授できる社会をどう実現するかという問題を真剣に考える時代に来たのだと思っています。
持続可能な社会を考えるときにハーマン・デイリーの三条件というのが参考になります。
- 再生可能な資源の消費ペースは、その再生ペースを上回ってはならない
- 再生不可能な資源の消費ペースは、それに代わりうる持続可能な再生可能な資源が開発されるペースを上回ってはならない。
- 汚染排出のペースは、環境の吸収能力を上回ってはならない。
持続可能な社会のビジョンは人それぞれであって構わないと思います(多様性)。例えば、低炭素社会、循環型社会、自然と共生した社会、文化や宗教など心の豊かさをもっと大事にする社会 などなど。
そして、そういった持続可能な社会の実現に向けて取り組む時に、沢山の問題が複合的に絡みあっていることを広い視野を持って捉えることがとても重要です。貧困問題、人口問題、食糧問題、水問題、砂漠化問題などが密接に絡んでいるということは、少し想像すれば分かりますし、公害問題、森林伐採問題、生物多様性問題などなど、それ以外にも本当に沢山の問題がありますが、温暖化問題もこれらの沢山の問題と複雑に絡み合って起きている問題です。
温暖化問題=CO2問題を大きく取り上げすぎることで、その他の問題、持続可能な社会を実現する上で解決すべき他の問題が手薄になってしまうことではいけません。広い視野を持ちつつ、個々の問題に注力して取り組むことが大切なんだと思います。
ただし、ある種のブームのようになっている温暖化問題ではありますが、私はこの動きをチャンスと捉えていて、温暖化問題をきっかけとして、多くの人が物質偏重的、経済至上主義的な世の中では立ち行かなくなっていることに気付き始めていて、またそういった世界からダイナミックに社会の価値観を変える時代が来ていると感じています。
21世紀に入り、エネルギー革命と精神革命が今まさに同時に起きていると感じていますが、これに気付いた人が少しずつでも行動を起こすことが重要なんだと思います。